京都市内の小学校で働く給食調理員2人が給食で残った食材を使って、まかないを作ったことで減給(平均賃金の半日分)の懲戒処分となったことが物議をかもしている。大量の食料が廃棄されるフードロスが問題視されるなかで、もったいない精神は大事なはずだが、2人はなぜ懲戒処分されたのか。
京都市教育委員会によると、2022年度から60代女性の調理員が給食で残った食材を使ってまかないを作り始め、23年度からは50代女性の調理員も加わった。私的な食材も持ち込んでいたという。まかないはおにぎりや唐揚げで、自分たちが食べるだけでなく職員室に持って行き教職員にも提供していた。
24年6月ごろに匿名の通報で発覚し、まかないの提供も終わった。2人は「余ったのでもったいない」「遅くまで働く教職員に何かしたかった」と動機を語っている。
このニュースが報じられるとSNSでは「人の優しさを処分か」という処分否定派と、「善意とかそういう話じゃなくてたぶん食中毒の問題」という処分肯定派に分かれて議論となった。
どうして調理員は懲戒処分となったのか。京都市教育委員会の担当者は「文科省の学校給食衛生管理基準などに基づいて作成したマニュアルがあり、まかないを禁止しています。処分内容は過去に本市でまかないの事案があり、同じ内容の処分となっています」と、前例に従ったと明かした。
文科省の基準では衛生管理が強調されており、食中毒の発生は避けなければいけない。また、私的な食材の持ち込みも衛生上の観点から禁止されていた。
まかないは調理員も食べていたわけだが、意図的に食材を余らせることはしていなかったのか。担当者は「児童数に合わせて食材を発注しています。欠席者が出たら余ります」と仕組みを話し、意図的には難しそうだ。もっとも「保護者負担の給食費で食材を買っています。(まかないは)私的利用になります」(同)と、余ったから自由に使えるものではない。
教育委員会には多数の電話があり、「『衛生上まかないをやめるべきだ』というものから『フードロスの観点から調理員を処分するのはどうか』というものまで賛否両方あります」(同)という。
まかないOKのルールにはできないのか。担当者は「今後どうするかは分かりかねます」とだけ話した。確かにもったいないのだが食中毒となったら批判されそうだ。