巨人・阿部慎之助監督(45)が今季の新方程式について29日に言及した。新加入したライデル・マルティネス投手(28=前中日)に9回を任せ、8回は昨季まで守護神を託してきた大勢投手(25)を起用する方針を改めて強調。クローザーのポジションに並々ならぬ熱意を見せている大勢にとっては大きな壁となるが、これこそがさらなる高みに導く巨人伝統の「良き試練」となりそうだ。
2月1日から始まる春季キャンプに先駆けて阿部監督はこの日、一軍合同自主トレが行われている宮崎に入った。
オフには大型補強が行われ、マルティネスが加入。大勢と合わせ、巨人と中日の守護神が並び立つ状態に、指揮官は試合終盤の継投の基本線として「大勢―マルティネス」を改めて打ち出した。
ただ、マルティネスに関しては「3連投までしかさせないけどね。連投して、もし1試合だけ(相手打線に)捕まっちゃって、球数がちょっと増えちゃったりしたら(休みを)あげて」と具体的な構想も披露。その場合は、8回にバルドナードやケラーを投入し「大勢を後ろ(9回)に回す」とフレキシブルに対応していくつもりという。
もちろん、選手をどう起用するかは阿部監督に決定権がある。それでも、大勢にも守護神として9回のマウンドを守ってきた自負がある。希望するポジションについて、本人も「もちろん9回です」と断言しており、マルティネスを相手に競争する意欲は満々だ。
ある球団OBは「巨人という球団は『レギュラーを取った!』と喜んだのもつかの間、強力な新戦力が毎年のように入ってきて簡単にポジションを奪われてしまう」と常勝軍団ならではの特殊事情を力説する。
かつてはFA市場の常連で次から次へと外部から大物を獲得し、チーム内の競争を激化させてきた。ルーキーイヤーの2022年に新人最多タイ記録となる37セーブを挙げ、新人王に輝いた大勢にとっては初めて強烈なライバルをぶつけられた格好だ。
さらに、前出OBは「そこで腐ってしまったら終わり。ライバルがケガをしたり調子が上がらなかったり不測の事態も起きるわけで。その時に食い込む準備ができるかどうか。その勝負に勝って初めて巨人での本当のレギュラーになれる」と語った。
険しい道のりではあるものの、マルティネスという高い壁を乗り越え、真の巨人の守護神へ進化できるか。