アニメ特撮アーカイブ機構・代表理事の庵野秀明氏が30日、国会内で開かれた超党派「マンガ・アニメ・ゲームに関する議員連盟(MANGA議連)」(会長・古屋圭司衆院議員)総会に出席した。
映画「シン・ゴジラ」や「シン・仮面ライダー」の脚本・監督として知られる庵野氏。同議連に対してはアーカイブの早期実現、人材育成、タックスクレジットなどの実現を要望した。
「アーカイブの早期実現は時間との戦いです。いま日々、貴重な資料が確実に失われています。本当に年単位ではなく、月単位でアーカイブの方は進めてもらいたい」
現在、ほとんどのアニメや特撮映像の制作は、デジタルに移行しているという。庵野氏はアニメ業界の課題として「クリエーターの育成」を強く訴えた。
「現場にいると本当に人が足りません。足りないことでどういうことが起こるかというと、制作がどんどん遅延します。今いろんなアニメーションが延期になっていますけれども、主な原因は人材不足が起因している。昔はブラックなイメージがあったアニメの業界ですけど、いまはかなり改善されています。悪いところばかり取り上げずに、アニメ業界の経済状況がいいところもマスコミにも取り上げてもらって、『アニメ業界って結構いいね』という雰囲気を世間にも出していただければと思っています」
最後に庵野氏が同議連に対して一番に要望したことは「タックス・クレジットの実現」。諸外国ではアニメを含めた映像産業の幅広い波及効果に着目し、タックス・クレジットなど映像産業への税制優遇制度を設けており、その数は50か国以上あるという。
「制作を頑張っているスタジオや制作会社のためにも、体力を少しでも維持させるために、国からの補助をいただければと強く切望しております」
文化庁の担当者は庵野氏が要望した人材育成について「今年度の補正予算で組んだクリエイター支援基金事業はそのためのものです。大学や専門学校で力をつけていただいて、この業界に入っていくとという流れを作りたいたいです」とコメントした。