超多忙の影響は…。大相撲の第74代横綱豊昇龍(25=立浪)の新しい綱を作る「綱打ち」が30日、東京・台東区の部屋で行われた。長さ4・1メートル、重さ7・8キロの綱が完成すると、出羽海一門の武蔵川親方(元横綱武蔵丸)が雲竜型の土俵入りを指導。豊昇龍は「(綱は)重かったです。ずっと夢に見てきたので、本当にうれしい。自分の責任がもっと重くなる。しっかり頑張りたい」と決意を新たにした。
横綱デビューへ向けて着々と準備を整える一方で、今後の懸念材料もある。番付最高位ともなれば土俵外で多忙を極め、過去には本業の相撲で不振に陥ったケースもあるからだ。しかも、新横綱として土俵に立つ舞台は年に一度の大阪場所。ひいき筋から昇進祝いを兼ねた誘いを受け、連日連夜にわたって宴席に引っ張り出されることも予想される。
豊昇龍は、大丈夫なのか。師匠の立浪親方(元小結旭豊)は「(横綱本人は)すごく酒を飲むタイプじゃないから。そのへんはね」と前置きした上で「部屋のほうでは、なるべく引っ張り回さないようにする」と明言。外出した場合でも翌日の稽古や相撲に影響が出ないように、豊昇龍を〝早期帰宅〟させる考えを示した。これも、師匠の親心だ。
実際、綱取りがかかっていた初場所中は、師匠の方針で報道陣による朝稽古の取材を完全にシャットアウト。〝立浪カーテン〟を引いて豊昇龍が相撲に集中しやすい環境を整え、劇的な逆転優勝につなげた。横綱となれば、求められる結果は大関以上。万全の状態で土俵に向かわせるためにも、打てる手は全て打っておく構えだ。
豊昇龍も「これから、今までより何倍も稽古しなくちゃいけないなと自分で感じている」と本業優先を強調する。「昇進疲れ」と言わせないためにも、横綱の名にふさわしい実力を証明したいところだ。