日本ハムの新庄剛志監督(53)が1月31日、キャンプインを前に沖縄・名護市内で取材対応。常勝軍団に変貌を遂げつつあるチームに静かな期待を抱く一方、今キャンプでは昨年までの方針を一変させ〝コンディション優先〟を各選手に厳命した。その裏側に秘められた「新庄流シナリオ」とは――。
今季で就任4年目を迎える新庄監督はこの日、今キャンプの抱負を問われると「まずはケガをしないように」と選手らに故障予防を要請。「ケガしたら置いていくよ、と。ケガされると(チーム計画が)本当に狂ってくるから。おかしいな、と思ったら大きなケガになる前に治してもらってね。そんなに慌てる必要もないし」とも続け、今キャンプではあえて選手に体調優先を心掛けてもらいたいことを強調した。
新庄監督が日本ハムの監督に就任して以降、チームのキャンプといえば各選手がレギュラー奪取に向けて連日猛練習を積み重ねる〝地獄メニュー〟が恒例。昨春キャンプも初日から主力、若手を問わず早朝から日が暮れるまで泥まみれになっていた。それが、なぜここにきてコンディション優先のキャンプに「方針転換」なのか。
背景には、ここ数年で急激に充実度を増した投打の戦力層が大きい。
2年連続最下位に低迷した時期はチームのレギュラー格はごくわずか。各選手が横一線で誰もがレギュラーを奪えるような脆弱な状況だった。だが、現在は大型補強や若手の急成長などもあり各ポジションに2、3人のレギュラー候補が君臨。主力の清宮幸太郎内野手(25)や、今季開幕4番での出場が決まっている野村佑希内野手(24)ですらレギュラーポジションは確約されていない。
投手陣も同様で先発、中継ぎ、抑えとどのポジションも戦力層は厚い。こうしたレギュラー格の選手がケガなく活躍してくれれば間違いなくチームは昨季同様、リーグ優勝争いに絡むはず。新庄監督には、そんな自信があるからこそ今春キャンプはあえて「体調優先」なのだろう。
この日夜、CS放送「GAORA」で生放送された春季キャンプ直前番組「SHINJOスペシャルナイト 2025~大航海のその先に~」に出演した新庄監督は、ここでも「選手たちはもう勝ち方は分かっている。強いチームになっているから。だからケガだけは気を付けてほしい」と熱弁。その上で熱狂的な日本ハムファンで知られるタレントの伊集院光やモーニング娘。’25の牧野真莉愛の前で「今年こそ優勝します」とリーグ優勝を力強く誓った。
年を追うごとに着実にチーム力をアップさせている日本ハムの春季キャンプ。今年はケガなく最後まで乗り切れるか。新庄監督の新たなタクトに注目が集まる。