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痩せるための薬の使用 糖尿病専門医・内分泌専門医の会田梓先生に聞く注意点

東スポWEB 2025年2月2日 10時8分

痩せるためには食事制限や運動が代表的だが、最近では薬の話題もよく耳にする。肥満はなぜ良くないのか、近年話題の「ダイエット薬」とはどういうものか、糖尿病専門医・内分泌専門医の会田梓先生に教えてもらおう。

――肥満はなぜよくない

会田医師(以下、会田)肥満はあらゆる病気との関連性が高いです。代表的なものとしては、高血圧や脂質異常症、心筋梗塞や脳梗塞。そして大腸がんや肝臓がんなど、がんとの関連性も注目されています。他に、関節の変形や睡眠時無呼吸症候群といった病気なども挙げられます。

――だから「痩せましょう」というメッセージが広まっているんですね

会田 その通りです。ただ、日本人は痩せている人も多く、いき過ぎた“痩せ信仰”も健康被害を招きます。痩せ過ぎることで骨粗しょう症リスクが上がりますし、ナトリウムやカリウムの低下で突然死のリスクも。太り過ぎ、痩せ過ぎではなく、男性ならば体脂肪率10~19%、女性ならば20~29%くらいを目指しましょう。

――痩せる効果が期待できる薬にはどんなものがありますか

会田 話題になったのが、糖尿病薬であるGLP1製剤で、リベルサスやオゼンピックがかなり普及しました。この薬は、食後の血糖値の上昇を抑制する薬です。効果の一つに胃の内容物の排泄を緩やかにするというものがあります。吐き気・腹痛という副作用が出るため、食欲抑制につながります。

――保険診療でこの薬を処方してもらえるのは糖尿病の人だけでしょうか

会田 糖尿病と診断された方だけです。痩せたいという目的で使用する場合は自費診療になります。肥満症で保険が適用されるのは、ウゴービというGLP1製剤です。

――他に、痩せる目的で手に取られている薬はどういうものがありますか

会田 市販薬では内臓脂肪減少薬のアライや、防風通聖散という古くからある漢方薬も根強い人気があります。糖尿病薬の一つであるSGLT2阻害剤も体重減少効果が期待されています。

――このような薬とはどう付き合うべきでしょうか

会田 まずは食事や運動でのコントロールを目指し、どうしても自分の力では標準体重を目指すことが難しいという人が、医師の指導のもとや、薬剤師の方に相談しながら、薬を使用しましょう。大前提として、薬が必要な体形なのかということについて、自分としっかり向き合ってください。どんな薬でも副作用があります。使うべき対象ではない人が気軽に手に取るのは避けましょうね。

☆あいだ・あずさ 銀座内科院長。北里大学医学部医学科を卒業後、日本赤十字社医療センター、東京大学医学部附属病院、聖路加国際病院、伊藤病院などを経て、現職。糖尿病専門医、内分泌代謝科専門医。生活習慣病や、メタボリックシンドローム・肥満症、甲状腺疾患・更年期障害などホルモン異常を専門とする。

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