虎のケンカ番長はこの男や! 阪神の新助っ人右腕、ニック・ネルソン投手(29=前フィリーズ)が春季キャンプ地の沖縄・宜野座で、日に日に注目を集めている。本業とする投球術に加え、貴公子のようなルックスは文句なしのイケメン。それにしてもこの男、遠い昔にどこかで見たことがあるような…。
ネルソンは最速158キロの直球に加え、ナックルボールが最大の武器。縦、横、斜めと不規則に変化する決め球はまさに変幻自在の魔球だ。
キャンプ初日の1日からブルペン入りし、捕球に四苦八苦した捕手の坂本も「危ないです。結構揺れていてヤバいなと思いました」と驚きを隠せなかったほど。藤川監督は中継ぎで起用する考えで、岩崎、ゲラ、桐敷、石井らを擁するリリーフ陣はますます厚みを増しそうだ。
そんなネルソンの姿を目にし、ひそかに心をザワつかせていたのは、今やチーム内で少数派となりつつあるプロレス愛好家の球団関係者たちだ。
「何やこの既視感は…。あの顔、どこかで見たことがあるような…。そうや、全日顔や! 昭和50年代あたりに全日本にいた外国人レスラーの顔や」「でも、誰なのかは思い出せんなあ…」「テリー・ファンクとドリー・ファンク(Jr.)と痩せた(スタン・)ハンセンとテリーマンを足して4で割ったような顔やな。ちょっと違うかなあ…。でも、間違いなく全日顔や」
そもそもテリーマンは大人気漫画「キン肉マン」に登場する正義超人で、全日本プロレスには参戦していない…。さらに「この顔はケン・パテラやな。知らんのか? 後でググっとけや」と渋めの選手名を挙げる関係者まで登場する始末。パテラは重量挙げの選手としてミュンヘン五輪に出場し、プロレス転向後にNWAでアメリカンタッグ王座を獲得した。全日マットでは、ジャイアント馬場やジャンボ鶴田らと抗争を繰り広げた名レスラーだ。
ただ、2日の練習終了時点で好事家たちから最も多くの票(3票)を集めたのは「ディック・スレーターに似てる」との説だ。〝ケンカ番長〟の異名でヒールとして活躍したスレーターは、パテラと同様にNWAを主戦場として活動。王道マットでは鶴田の好敵手として多くのファンから支持された。「結局、全日顔=NWA顔ってことなんやな」と何一つ生産性のない結論が出たところで、一連の議論はようやく収束した。
ラフファイトを身上としたスレーターとは対照的に、虎のネルソンはグッドガイそのもの。「異文化、新しい環境に適応することは大切だと思っています。広い気持ちで何でも受け入れてみようと思って、牛タンやウナギを食べてみたのですが、とてもおいしかったです」と、さわやかな笑みを浮かべながら優等生のような受け答えを続けている。
番記者たちを「中身までイケメンやんか!」とうならせるネルソンも、まずは春の実戦でアピールを続けて、開幕一軍を確定させたいところだ。