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【ソフトバンク】上沢直之 メジャーで断ち切れなかった「悪循環」…本人語る完全復活のカギ

東スポWEB 2025年2月3日 6時8分

大きな挫折を経て、新天地で輝きを取り戻す――。ソフトバンクの上沢直之投手(30=前レッドソックス)が宮崎春季キャンプ(生目の杜運動公園)の2日、初のブルペン入り。真っすぐに多彩な変化球を交えて57球を投じ、右ヒジ痛からの回復が順調であることをアピールした。何もかもうまくいかなかった米時代があるからこそ、導き出した答えがある。完全復活のカギは「球持ちの良さ」。自分自身と向き合い、生きる道を切り開こうとしている。

この日一番の注目を集めたのは、紛れもなく上沢だった。補強の目玉が宮崎で初のブルペン入り。日本ハム時代から「キャンプ2日目」がお決まりだった。「自分が心地いいと思うところでやめておこう」と、マイペースに57球。7種類の変化球を確認程度に交え、弾道測定器で叩き出された数値を逐一チェックした。

NPB通算70勝を誇る実力者だが、懸案を抱えて日本に戻ってきた。「僕の良さっていうのは、自分では『ボールが長く持てるところ』がいいところだと思っている。そこが向こうに行って適応しようとして、いろいろやっているうちにできなくなっている感じがある」。

一昨年オフ、日本ハムからポスティングシステムの利用を容認されてメジャーに挑戦。だが、結果は最高峰で出番を得られず、救援でのわずか2試合にとどまった。滑るボールに加え、中継ぎの難しさに直面し、徹底した管理野球の中で持ち味を失った。投げる球種を指示され、変化球の割合が増す中でフォームを崩し、体に負担がかかる悪循環。感じたことのない前腕の張りが続いた。

シーズン途中の昨夏、悲鳴を上げた右ヒジ痛の診断結果は疲労骨折だった。足りなかった適応力、耐久性。敗北感、実力不足を真正面から受け止め、周囲の厳しい指摘を承知の上で1年での国内復帰を決断した。

弱さを知ったからこそ、自分の進むべき道を再確認した。「どうやったらバッターが打ちづらいボールを投げられるかと考えた結果、僕の持ち味はやっぱりフォームとボールのギャップ。なるべくゆったりしたフォームで強い球を投げる」。この日、上沢の投球を見守った小久保監督は「日本ハム時代の独特の間合いで、バランスよく投げていた」と完全復活の兆しを感じ取っていた。

NPB通算70勝を誇り、大型の4年契約で加わったとはいえ、競争枠の一人だ。「結局、結果を出さないといけない世界。いろんな声がある中で、こっちに来て応援してくれる人もいる。そこは自分で何とかするしかない」。

国内復帰を巡って世間では厳しい意見がいまだ多い中で、宮崎では連日温かい声が直接届く。人知れずもがき苦しんだ末に選んだ再生の道。鷹でなければならない理由はあるはず。男は黙って、結果で答えを出す。

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