スペイン1部レアル・マドリードから期限付き移籍した同国3部アモレビエタを退団したMF中井卓大(21)が、同国2部ラシン・サンタンデールのBチーム(同国4部ラヨ・カンタブリア)で今季終了までプレーすることになった。Rマドリードの下部組織で育った逸材は、さらに下のカテゴリーで出直し。元日本代表MF前園真聖氏(51=本紙評論家)が、早急なキャリア立て直しの重要性を説いた。
中井はアモレビエタで出場11試合で無得点。開幕から8試合連続のスタメンだったが、徐々に出番が減り、直近4試合はベンチ外だった。そんな状況もあり、今季終了までのレンタル期間を打ち切り、出場機会を求めて新たなスタートを切ることになった。
昨季はスペイン3部マハダオンダ(現4部)でプレー。大きなインパクトを残せなかった。世代別日本代表でも、2023年5月のU―20W杯メンバーから外れており、昨年もパリ五輪世代のU―23代表に絡んでいない。Rマドリード下部組織での順調なステップアップから一転、近年は足踏み状態となっている。
前園氏は「ここ何年かのプレーをちゃんと見られていません」と前置きした上で「幼少期に違いを見せていたとしても、3部に行きなさいということだったじゃないですか。今からレアル(マドリードのトップチーム)に行くというのは、非常に難しいと思います」と厳しい現状を指摘した。
だからこそ、3部クラブでの武者修行を選んで巻き返しのきっかけをつかもうと必死だったが、さらに下のカテゴリーでやり直しを余儀なくされた。保有元であるRマドリードとの契約は、今季限りとされているだけに、帰還は難しいとしても、今後のためにも半年で結果を残す必要に迫られている。
前園氏は「次のチームは、すごく大事になってきますし、スペインにいるのであれば、まずは2部のチームを目指してほしいです。難しければ、それだけの力をつける必要があります」と力説。幸い新天地のトップチームは2部で首位につけ、来季の1部昇格を視野に入れる。Bチームでのアピール次第では、一気に遅れを取り戻せる可能性もある。
一方で、国内サッカーファンからのJリーグ待望論は根強いが、前園氏は「Jリーグでも試合に出られるかわかりません」ときっぱり。どのリーグでプレーしても厳しいのは同じ。このままでは〝消えた天才〟と言われかねない。中井は苦境を乗り越えられるのだろうか。