ブラジル最大の犯罪組織「プリメイロ・コマンド・ダ・カピタル(第一首都司令部=PCC)」のトカンチンス州のトップで、〝犯罪の女(ダーマ・ド・クリミ)〟と呼ばれる女が特定され、逮捕状が出された。ブラジルメディア「g1」が先日、報じた。
PCCはブラジル国内に約10万人のメンバーがいる世界最大級の犯罪シンジケートの一つ。薬物密売、武器密売、殺人請負、犯罪組織同士の戦争の扇動、刑務所での大規模暴動、マネーロンダリングなど、悪の限りを尽くしているという。
トカンチンス州のトップは、通称〝犯罪の女〟とだけ呼ばれ、正体は不明だったが、警察の捜査が実り、オンライン衣料品店経営のルシア・ガブリエラ・ロドリゲス・バンデイラ容疑者(25)を特定。4日、逮捕状が出された。
バンデイラ容疑者は昨年7月、薬物所持で逮捕されるも、「4歳の子供の唯一の世話人なんです」と主張し、SNSで世間に訴えるなどし、釈放された。この時、PCCの地域トップとは分からなかった。しかし、薬物と武器の所持で12月に逮捕され、中心的役割をしている可能性が強まっていた。現在、刑務所に収監されている。
バンデイラ容疑者はオンライン衣料品店経営を隠れみのにしていた。さまざまな衣装に着替え、ダンスする動画を多数TikTokに投稿していた。動画を見ると一見、犯罪者には見えない感じだ。
この捜査は、トカンチンス州で麻薬密売人が逮捕された2024年2月に始まった。PCCは階層的かつピラミッド的な組織で上役にたどり着きにくくなっている。しかし、1年近くの捜査の結果、「ダーマ」「ラリッサ」などのコードネームを使い、携帯電話からメンバーに指示していたのがバンデイラ容疑者だったことを特定した。
警察によると、ある録音では、バンデイラ容疑者がメンバーに対し、「敵対する派閥のメンバーを排除するために武器と資金を集めなさい」と呼び掛けていたという。
4日に「窒息作戦」という大規模摘発が行われ、トカンチンス州で10人、サンパウロ州で5人の計15人が逮捕された。さらなる捜査が続く。