ヘンリー王子の米国ビザをめぐる問題で、カール・ニコルズ判事は王子の米国ビザ申請の封印された書類の一部を公開する可能性を示唆した。英ミラー紙が5日、報じた。
2年間に及ぶ法廷闘争の最新の展開として、ニコルズ判事は5日、ワシントンDCで行われた公聴会で「プライバシーを侵害しない限り、最大限の開示を望んでいる」と表明した。同判事は「何らかの救済措置がある可能性を否定しているわけではない」と述べつつ、ドナルド・トランプ大統領が国土安全保障省(DHS)に発した、情報の削除や「継続的な開示保留」の要請に応じるよう求めた。さらには「プライバシーを侵害しない限り、最大限の開示」を望んでいるとも語った。
この長期にわたる訴訟は、ワシントンDCの保守系シンクタンク、ヘリテージ財団が、ヘンリー王子が回顧録「スペア」でコカイン、マリファナ、幻覚キノコを摂取していたことを認めたにもかかわらず、2020年に米国への入国を許可された理由を疑問視したことから始まった。
同財団は、ヘンリー王子はバイデン政権から特別待遇を受けたか、移民申請書に嘘を書いたと主張。薬物使用歴があるためビザを受け取るべきではなかったとして、情報公開法に基づきビザ記録の開示を求めたが、DHCは昨年9月に要求を却下。財団は新たに訴訟を起こしていた。
ドナルド・トランプ大統領が先月ホワイトハウスに戻って以来、この事件が米国の裁判所に持ち込まれるのは初となる。大統領はこの件に介入して文書の開示を求める権限を持っており、以前からヘンリー王子が米国ビザ申請で薬物使用について嘘をついていた場合、処罰を受ける可能性があると警告していた。
昨年9月に行われた審理で、判事は王子の移民記録の開示に国民は強い関心を持っていないとの判決を下したが、ヘリテージ財団は判決の変更を求めている。同財団は当初、情報公開法に基づく請求が却下されたことを受けてDHCを相手に改めて訴訟を起こしており「国民の大きな関心事」だと主張している。