27年ぶりリーグ優勝と日本シリーズ2連覇を狙う番長ベイの〝最大の秘密兵器〟は、選手よりも新コーチかもしれない。今年、ヤクルトからDeNAに移籍してきた河田雄祐一軍外野守備兼ベースコーチ兼野手コーチ(57)である。
「よし、そうだそうだ! もう一丁いくぞ!」
宜野湾のグラウンド上に河田コーチの甲高い声が飛ぶ。第2クール初日の6日もシートノックの最中、梶原や度会ら若手に外野ノック。午後からは今キャンプ初のライブBPの間、実戦に即した走塁練習の指導に余念がない。現時点で走塁面の最重要課題は何か、河田コーチに聞いてみた。
「今、選手みんなに言ってるのは走塁に間を作ること。打球がどこへ飛ぶか、どんな打球かを判断する時間を作ることなんです。結局、みんなどういう打球かわからずに、見よう見まねで走塁していることが多いんです。例えばライナーで飛び出してアウトになったりする。逆にヒットが出たのに、その瞬間に速やかにスタートを切れなかったりする。みんなには、そういう判断をする時間が足りない。そこはまだまだ改善の余地がある。全然あると思いますよ」
こう語る河田コーチは西武、広島、ヤクルトで外野守備コーチやヘッドコーチを歴任。球界屈指のノック技術、守備走塁の技術を持つスペシャリストとして知られる。
その河田コーチが強調する「打球判断のレベルアップ」こそ、DeNAキャンプのメインテーマのひとつ。河田コーチに託した重要任務を、三浦大輔監督(51)がこう明かした。
「河田さんが来られた時に、最初にお願いしたのが打球判断の向上です。走塁では打球を見て一つでも先の塁を取ること。外野守備なら、相手打者や走者を一つでも前の塁で止めること。そういう打球判断ができれば守備力の向上につながる。走塁にしてもそうですよ。去年は、例えば走者一塁からワンヒットで一、三塁にできたなっていうところで一、二塁で止まってしまう、ということが多々あったんで。そういう全てを含めての打球判断ができるようになったら、このチームはガラッと変わると思う」
今キャンプ初日、番長はミーティングで選手にこう言い聞かせていた。
「打撃が得意な選手なら守備は大目に見る、じゃないんだ。走塁や守備力が2なら3、3なら4に上げる努力をしてくれ。今年はチームのテーマとして、俺はそれを求めていく。チーム全体としてやっていくことなんだ」
そんな〝番長流改革〟の先頭に立っているのが河田コーチなのだ。今年、DeNAはさらなる進化を遂げそうである。