2日の第67回グラミー賞で最優秀新人賞を受賞した米シンガー・ソングライター、チャペル・ローン(26)の受賞スピーチが波紋を呼んでいる。
同賞を受け取ったローンは、「アーティストから何百万ドルもの利益を得ているレーベルと音楽業界に、若いアーティストに対して生活できる賃金と健康管理を求める」と訴えた。
ローンは未成年でレコード会社と契約したものの、その後、契約を解除され、自分の職歴がゼロで、多くの人と同様、コロナ過で仕事を見つけるのに苦労し、健康保険に加入する余裕もなかったと告白。
「自分のアートにあれほど打ち込んでいたのに、制度に裏切られたと感じ、医療ケアを受けられないことに人間性を奪われたようで、打ちのめされた」と発言。「アーティストを貴重な従業員として扱い、生活できる賃金と健康保険と保護を与える必要がある」と主張した。
ローンのスピーチは喝さいを浴び、会場の中には涙するアーティストたちもいた。
だが、これに米音楽ジャーナリストのジェフ・ラブハン氏は6日、米誌「ハリウッド・リポーター」のコラムで、音楽レーベルにこうした基本的な保証を提供する義務があると主張するローンは、「あまりに未熟で無知過ぎる」とこき下ろしたのだ。
すると、米人気シンガー・ソングライターのホールジー(30)がすぐに反発。自身のインスタグラム・ストーリーで、「私たちの業界は多くの声で構成されている。最上位のエリートの経験が全てのアーティストにとって共通ではない」と指摘。
その上で、レコード会社からの前払い金は「生存を保障するためのもの」であり、「投資ゲーム」であるとし、「他人の芸術で利益を得たいのであれば、そのアーティストは芸術作品を創作するのに十分な安心感を得られる基本的な生活手段を持っているべきだ」とローンの発言を後押しした。
ローンの主張は今後、業界を巻き込んで論議が広がりそうだ。