果たして正捕手争いへの影響は――。ソフトバンクの宮崎春季キャンプを野球日本代表「侍ジャパン」の首脳陣らが7日に視察。井端監督は3月5、6日に行われるオランダとの強化試合(京セラ)の最終候補メンバーにリストアップされている海野隆司捕手(27)に期待を寄せた。「能力が高い。(巨人へのFA移籍で)甲斐がいなくなって、より能力を発揮してくれるんじゃないかと思っている。あと1年あるし、じっくり見てどれだけ成長するか楽しみ」と鷹の正捕手候補を評価した。
来春開催の第6回WBCに向けた強化が目的の試合となる。昨秋の「プレミア12」で力量を把握済みの選手は見送り、初選出組が多数を占めると予想される。最強布陣ではないが、日の丸を背負う価値や名誉は変わらない。NPBのトップが集結する貴重な機会に、最終候補のメンバーは胸を高鳴らせているはずだ。
選出が極めて有力な海野はこの日、控えめに「結果自体、出していないので、うれしさもあり、不思議な感じ。とにかくオドオドしないように、堂々とプレーしたい」と意気込みを語った。チームでは正捕手争いの真っただ中。その座を射止めるために、海野が重要視しているのが〝ドッシリ感〟。「オドオドしないことが大事。全員が見ているポジションで、信頼を得るにあたって堂々とするのが一番大事」と言い切る。
侍トップチームに選出されれば、プロ入り後初の代表となる。チーム内からは「日本のトップが集まる機会で、刺激も受けるだろうし、一緒にやることで自信にもなる。箔(はく)がつけば貫禄も出る。海野にとって、いい意味で投手からの見られ方も変わる」とポジティブな声が上がった。
一方で、正捕手争いへの影響を指摘する声も少なくない。「オープン戦を空けるのは2試合程度だろうが、大げさではなく、たかが2試合、されど2試合。いない間にマスクをかぶったライバルが投手の信頼をガッチリつかむ特別な1試合を経験するかもしれない」(チーム関係者)。
さまざまな反応があるのも、それだけ正捕手争いの行方が読めないからこそ。地位を築く上で一流選手ほど口にする「運」の要素。分岐点はどこにあるか分からない。