過日、地元の居酒屋で、大ジョッキを片手にした初老の見知らぬ男性から声をかけられた。あちらは私を「葉石」と呼んでいるので、知り合いであることは間違いない。失礼を承知で名前を聞くと、小学校の時の同級生だった。確か彼はモテ男だったはず…。判別できないほどの変わりように、かなりの衝撃を受けた。
会った時の彼は相当量飲んでいる感じだったし、やはり酒が老化を促進させるのだろうか? 飲み仲間のドクターに聞いたところ、「アルコール分解時に発生するアセトアルデヒドが、老化要因の1つである糖化を促す」という。糖化はカラダのコゲ。肌の弾力だけでなく、内臓機能や骨の質まで低下させる作用がある。
酒に並んで注意しなくてはならないのが、「おつまみの選び方」。揚げ物、おいしそうな焦げ目のついた焼き物は、糖化を促すAGE(終末糖化産物)を多く含むので、できるだけ避けたほうが賢明だ。AGEは加熱温度が高いほど発生するので、生の刺し身やそのままで食べられる冷ややっこなどを選ぶといい。
では糖化を促進しないつまみなら、たらふく食べてもいいかと言ったらそうではない。満腹になるまで食べると、「若返り遺伝子」と呼ばれるサーチュイン遺伝子の働きが低下。次第に老化細胞が効率的に除去できなくなり、見た目だけでなく、血管にまでダメージが及んでしまう。酒飲みがやりがちな、だらだら飲みは最も良くないそうだ。
打開策をドクターに尋ねると「16時間断食をするといい」という。空腹になるとサーチュイン遺伝子が活性化するからだ。普段から「あともう少し食べたいな」と思う腹七分、八分に抑えた食べ方が有効だそう。
老化はどうあがいても防げない。だがせめて老化のスピードを緩やかにし、若かりし頃の面影をちょっとでも残しておきたい。そのためにも、だらだら飲みはほどほどに。