球児にハッキリ言うてしもうたで! 阪神前監督の岡田彰布オーナー付顧問(67)が9日の沖縄・宜野座キャンプを訪問。監督時代と変わらず、ブルペンでの投球練習や紅白戦に鋭い視線を送った。ただ、藤川球児監督(44)率いる新体制となっても猛虎ナインには守備ミスが頻発…。すっかり〝小言モード〟にスイッチが入り、藤川体制だけでなく新戦力にまで異例の苦言を連発した。
この日は前日8日に続き、キャンプ2度目の紅白戦が6回制で実施された。ところが5年目右腕の佐藤蓮に悪送球、8年目内野手・熊谷には適時失策が飛び出すなど2失策。記録に残らない細かいミスが散見される内容となった。
昨季はリーグワースト2位となる85失策を喫し、新体制となった今春も改善が見られない。そんな状況に岡田顧問は「去年、あんだけ口酸っぱくして言ったのに、あんだけエラーしてるわけやから。結局、そういうことやろ? もっと締めなアカンいうことやと思うよ」とお怒りモードだ。
昨季まで徹底されていた中継プレーが、常時行われていなかったことも見逃さなかった。「連係でもあんま良くないよ。短い距離は無理して前の塁に行かないから、カット(マン)に返せばいい。カットが受けた時点で、ランナーコーチャーが(走者を)ストップする可能性があるから」。さらにバックホームの際も捕手に直接送球されたことについても「怖いなあ、どれだけイレギュラーしてる? ワンバン送球で。甲子園は人工芝じゃないし」とぶった斬った。
〝守りの野球〟を重視してきた岡田顧問だからこそ、細かいプレーに目をつぶれなかったのだろう。「一つひとつのプレーをもっと大事にしてもええと思うよ、おーん」と藤川虎にあえて厳しい言葉を贈った。
前指揮官の苦言は選手個人にまで及んだ。現役ドラフトで巨人から加入し、紅白戦で紅組の先発を務めた畠世周投手(30)だ。この日は近大の後輩でもある佐藤輝に特大アーチも浴び、岡田顧問は「あんま良くなかったよなあ。ブルペンでもなあ」とバッサリ。スピードガンと実際の球速に差があることに「そこが問題やわな。タブレットで見てたら153キロとか出るんやんなあ。150キロとか出てたら、そう打たれへんと思うけどな」と首をかしげた。
球春到来を告げるキャンプは本来は期待感にあふれ、ファンも胸を躍らせる季節。ここまでチーム全体、新戦力を前指揮官が一刀両断することはまれだ。
藤川監督は岡田顧問の思いを察したかのように「主力が抜けた後の試合は、空気的に『ん?』と思うところもありました。そこはグッとこらえながらやっていましたけどね」と苦笑いを浮かべながら振り返っていた。
〝愛情の裏返し〟がチームに好影響をもたらせばいいが…。