米ニューオーリンズで9日(日本時間10日)に行われたプロフットボールNFLの王座決定戦「第59回スーパーボウル」。そのハーフタイムショーでの米ラッパー、ケンドリック・ラマー(37)によるパフォーマンスが白人層の一部から「逆人種差別」だとして物議を醸している。
米国民の3分の2が視聴するとされる同国最大級のイベントであるスーパーボウルで、毎年注目を集めるのがハーフタイムショーは、米エンターテイメント界のトップアーティストが約15分のショーを託され、今年は、先週のグラミー賞で5冠を達成するなど、ラップ界の頂点に立ったラマーがその役を担った。
ショーはまず、米国を擬人化したキャラクター「アンクル・サム」に扮した米俳優サミュエル・L・ジャクソンが狂言回しとして登場してラマーを紹介。新曲「ワックド・アウト・ミュラルズ」やヒット曲「スクアブル・アップ」や「ハンブル」を数十人のダンサーたちと共に圧巻のパフォーマンスを披露した。
その間、女子テニス元世界女王のセリーナ・ウィリアムズやR&Bアーティストのシザも〝カメオ出演〟するなどステージに花を添えた。
多くの視聴者がラマーのパフォーマンスを絶賛する中、論議を呼んだのは明らかな演出の意図である全ての出演者を黒人にしたことだった。
ハンドネーム「The Woman」というXユーザーは、「スーパーボウルはアフリカのイベントだったの? ケンドリック・ラマーの100以上のダンサーはみんな黒人! 白人は1人もいない。もし白人アーティストが逆のことをしたら、どんな騒ぎになっていたことか。一体、アメリカはどうなっているの?!」とつぶやいた。
米保守派の政治評論家マット・ウォルシュ氏は、Xで「過去最低のハーフタイムショー」と批判。「よくNFLは、観衆の9割が聞いたこともなく、活気もなく、何を言っているか理解できないような曲を歌うようなヤツを選んだものだ」とこき下ろした。
同氏が10日、たて続けに投稿したXのポストには合計10万件以上の「いいね」を集めた。ほかにも、「米国の国民的イベントを黒人だけのものにしたのは〝逆人種差別〟」などと、Xでは白人層から多くの批判を呼んでいる。