巨人は11日に宮崎春季キャンプ第3クール初日を迎え、今季初実戦となる紅白戦を実施。一、二軍の若武者はもちろんのこと、三軍からは異例とも言える3人もの投手が参戦するなど絶好のアピールの場となった。「ヤングG大抜てき」の裏に隠された阿部慎之助監督(45)の狙いとは何なのか――。
期待の戦力が早くも実戦で大きなインパクトを与えた。先発転向1年目の西舘が1回2奪三振無失点と好投すれば、日本ハムから現役ドラフトで加入した新戦力・田中瑛も1回2奪三振無失点と存在感を発揮。阿部監督も「(西舘は)まだまだ修正点もあるみたいなので、それができるようになったらもっと出力も出るんじゃないかなっていう話もしていた。(田中瑛は)もともと日本ハムにいた時からいい投手だというのは知っているので、いい競争してほしいと思います」とし、両投手を称賛した。
また、この日の試合には三軍からも千葉、森本、園田を招集して投入。若手主体の実戦とは言え、三軍から3人もの投手を抜てきすることは異例だ。そんな「奇策」とも言える起用について、チーム内からは次のような声も出ていた。
「阿部監督からしたら『三軍の選手だってチャンスがあるんだからな』と伝えたい思いもあったのではないか。同じ宮崎でのキャンプとは言え、三軍にいるとどうしても一軍の舞台は果てしなく遠い場所のように考えてしまう選手も出てくる。紅白戦の結果はどうであれ、三軍の選手たちのモチベーションを向上させるためにも今回の抜てきは大きな意味があったはず」(チーム関係者)
指揮官がチェックしていたのは紅白戦で起用された3投手だけではない。この日の紅白戦前には阿部監督自ら三軍キャンプ地・都城まで出向き、時間ギリギリまで練習を視察。育成2年目・三塚には打撃指導も直接行った。視察を終えた阿部監督は「普段なかなか三軍を見ることはできないですし、いろいろなことも知れたのでいい時間でしたよ」と充実したひと時を過ごしたことを明かした。
三軍で鍛練を重ねるヤングGたちにも希望を与えるため――。チームの末端まで〝慎之助の目〟が光り続けている。