【渡辺ありさの界隈ウオッチ】ミス東スポ2022グランプリでフリーライターの渡辺ありさが、さまざまな“界隈”をウオッチする新企画がスタート! 世間ではあまり知られていない、その界隈独特の価値観やルール、その界隈で存在感を示す人物などにスポットライトを当てるのがコンセプトです。記念すべき第1回はネクストブレーク必至の「楽曲本格派地下アイドル界隈」を特集。「地下アイドル=楽曲がイマイチ」という偏見を覆す、最強の楽曲派アイドル3組を紹介します。
【CiON(シーオン)】
楽器演奏者とボーカルが融合した、唯一無二のスタイルを貫くユニットです。メンバーは、アルトサックスの佳子、ピアノの杏実、ユーフォニアム・バストランペットの聖奈、ボーカルの栞音と愛佳の5人。2016年にオーディションで約2800人から選ばれ、翌17年にデビューしました。楽器隊とともに歌い踊るインパクトもさることながら、演奏力の高さと圧倒的な歌唱力に驚かされます。
器楽(楽器だけで演奏する音楽)の音色を生かしたジャジーな楽曲が多く、アーティストカバーも得意。サザンオールスターズの「エロティカ・セブン」やシャ乱Qの「ズルい女」など、平成初期の名曲をソウルフルに歌い上げる姿は鳥肌ものです。アイドルの枠組みを超えた音楽性の高さもあり、飛ぶ鳥を落とす勢いでスターダムを駆け上がっています。
昨年10月に無許可の路上ライブで書類送検されるというまさかの事件が発生しましたが、今年1月から気持ちを新たに再出発を果たしました。2月15日には、5000人キャパを誇るパシフィコ横浜でのホールワンマンを開催。ワンマンを大成功させ、どん底からのV字成長というサクセスストーリーに期待したいですね。おすすめ楽曲は、妖艶なパフォーマンスに魅了される「Addiction」と、中森明菜の名曲をカバーした「MI AMOORE(ミ・アモーレ)」です。
【Ringwanderung(リングワンデルング)】
2019年に結成。通称リンワン。佐藤倫子、寺尾音々、増田陽凪、辺見花琳、新メンバーの篠田百音の5人組ユニットです。
昨年、メンバーの増田陽凪が特殊詐欺に遭い、学生時代からためていた貯金を失ったと告白して界隈をザワつかせました。そんな強エピソードを持つリンワンですが、楽曲はアイドル界屈指のクオリティーを誇ります。ピアノやキーボードの音が特徴的な、疾走感あふれる“鍵盤ロック”を標榜する彼女たち。音数が多く、いい意味でガチャガチャしたサウンドと、アイドルらしからぬネガティブな歌詞は、オルタナティブロックやボーカロイド楽曲が好きな人に刺さること間違いなし。メンバーの歌声も個性的で、一度聞いたら耳から離れません。
ダークな雰囲気のビジュアルも相まってか、クールなイメージの強いユニットですが、ステージングはめちゃくちゃアツい。振り付けはキャッチーで覚えやすいものが多いので、ライブでは振りコピをして一緒に踊るのもいいですね。おすすめ楽曲は、リンワンの特色であるピアノの旋律が印象的な「ササル」と、洗練されたメロディーとエモーショナルな歌詞が胸を打つ「Lily」です。
【fishbowl(フィッシュボウル)】
静岡発のご当地アイドルで、メンバーは大白桃子、新間いずみ、佐佐木一心、久松由依、齋藤ザーラチャヒヨニ、木村日音の6人。2021年に結成されました。
fishbowlは、地元の企業や自治体が特定のメンバーを応援する「応援企業・団体」システムを導入しており、メンバーそれぞれが地元のさまざまな企業の看板を背負い、活動を通じて静岡の魅力を精力的に発信しています。ユニット名は“金魚鉢”を意味しており「金魚のような形に見えるといわれる静岡を包み込むアイドルになれるように」という思いが込められているのだとか。
かなり地域に根差したコンセプトを持つグループですが、楽曲は都会的でアーティスティック。サウンドプロデュースは、ストリーミング総再生回数1億回超えのメガヒットを記録した、FRUITS ZIPPERの「わたしの一番かわいいところ」を作詞作曲したヤマモトショウが担当。テンポのよいエレクトロポップに、メンバーのあどけない歌声が重なり、聞く者の心をつかんで離しません。おすすめ楽曲は、キラキラしたサウンドと独特なリリックが病みつきになる「九天」と、キレのあるラップが印象的な「熱波」。熱波のMVは、サウナの聖地である静岡の「しきじ」で撮影されています。