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伝説級の踏切渋滞→“一瞬”に!? 東京を変えた「ワープ道路」3選 組み込めばめっちゃ時短に!

乗りものニュース 2024年6月30日 12時12分

走ればノロノロ、信号だらけの東京23区内の道路にも、まるで「ワープ」するかのような快適な区間がいくつかあります。移動に組み合わせると、時間短縮につながるかもしれません。

まさに「ワープ!」な東京の道路3選

 東京23区内はビルや住宅が密集し、その間を道路が縫うように走っています。そのため、道路は狭く、交通量の多い道路同士の平面交差も多く、繁華街と繁華街とが実際の距離以上に“隔たり”を感じるつくりとなっています。

 じつは東京では関東大震災後の「帝都復興計画」、および第二次世界大戦後「戦災復興計画」の二度にわたり、大胆かつ大規模な都市改造を行う可能性がありました。もしこれらが当初の計画規模で実現していたら、現在の東京の道路の姿は大きく異なっていたはずですが、いずれの計画も予算不足などが課題となり規模を縮小、十分な成果を得ることができませんでした。

 しかし、そんな東京23区内でも、あたかも“ワープ”するように、ある程度の距離を快適に移動できる道路があります。その一部は、上記の古い計画が、何十年もの時を経て実現したものでもあります。

 その“ワープ”ルートのキーワードは「地下」「空中」、そして「海上」です。

■井荻トンネル&練馬トンネル(環八通り、笹目通り)

 いまでも都内各所で「開かずの踏切」が問題となっていますが、環八通りの「井荻踏切」(杉並区)は、それらの踏切とは別格でした。

 1990年代の環八通りは、練馬区南田中から板橋区相生町までの区間が未完成で、杉並区内から北進した先はそのまま笹目通りに接続、23区南西部と関越道、国道17号新大宮バイパスを結ぶ大動脈として機能していました。

 その環八通りの本線に、日中でも1時間あたり30分、ラッシュ時には45分以上閉じたままとなる西武新宿線の踏切があったのです。待ち時間30分以上も当たり前で、さらにこの踏切を避けて環七通りなどに迂回するクルマにより、周辺道路にも大きな混雑が発生していました。

 こうした踏切にかかわる渋滞解消のために建設されたのが、「井荻トンネル」です。1997年に一部供用がはじまったこのトンネルは、井荻踏切の約600m南、「今川一丁目」交差点付近から、西武新宿線、さらには並行して走る早稲田通り、新青梅街道、千川通り、旧早稲田通りを一気にくぐり、笹目通りにつながります。それまでの踏切待ちと比べ、驚くべき時間の短縮をもたらしました。

 その後、2006年には南田中から練馬中央陸橋までの環八通り未成区間が開通、井荻トンネルからはこの区間の練馬トンネルに直結します。

 現在、とくに流れがいいのは外回りで、青梅街道と交差する「四面道」交差点から練馬区の東京メトロ有楽町線平和台駅まで、空いている時間帯であれば、クルマで15分ほど。逆方向は時間帯により「環八南田中」交差点、さらにトンネル出口の「今川一丁目」交差点を先頭に渋滞することもありますが、それでも踏切のあった時代に比べれば、ロスする時間はごくわずか。まさに隔世の感があります。

臨海部―都心ひとっ飛び「環2通り」

 そもそもは「世界都市博覧会(都市博)」を起爆剤に街作りが進むはずだった臨海副都心は、バブルの崩壊による進出内定企業の辞退、さらに青島都知事による都市博中止決定などで、その開発は1990年代後半まで迷走していました。

 しかし1996年の東京ビッグサイト開業以降は商業施設がつぎつぎにオープンし、人気の観光スポットとなります。ただ都心からのクルマでのアクセスは、晴海通りから東雲をぐるりと回るか、レインボーブリッジを使うかに限られ、「距離の割に時間がかかる」のが難点でした。

 しかし2022年12月、新たなアクセスルートとして環状第2号線の「築地虎ノ門トンネル」および「築地大橋」「豊洲大橋」などからなる「環2通り」が開通、交通状況が一変します。

 環2通りは「虎ノ門二丁目」交差点で国道1号桜田通りと交差したあと、国道15号第一京浜、都道316号海岸通りをトンネルでパス。築地で地上に出てからは、高層ビルの間を高架で駆けぬけ、清澄通りと朝潮運河を立体交差と橋で一気に越えます。

「月島警察署前」でひさびさに信号に出迎えられたあと、豊洲市場の青果棟と水産棟の間を抜ければ、有明は目の前です。この間の所要時間は15分ほどしかかかりません。

 さらに南側の湾岸エリアである大井や八潮から都心への一般道でのルートも、これまでの海岸通りではなく、有明から環2通り経由が最速となるなど、湾岸エリア全体の交通状況にも大きなインパクトをもたらしています。

「東京臨海道路」って、知ってますか? アノ橋を使わない手はない!

 23区内にある片側2車線の立派な幹線道路ながら、まだまだ知名度の低い道路が、この「東京臨海道路」です。

 その理由は、やはり「沿線に目的地となるものがないから」に尽きるでしょう。

 起点は羽田空港に近い、大田区城南島。そこから北東に走り、伊豆諸島や小笠原諸島を結ぶフェリーが行き交う東京港の航路を「臨海トンネル」でくぐります。そして令和島(中央防波堤外側埋立地)で地上に出て、中央防波堤と青海・お台場方面を結ぶ「青海縦貫線」と立体交差します。

 以降は「臨海中央橋」「東京ゲートブリッジ」で、東京都心を左手に見て進み、終点の江東区若洲で「新木場若洲線」につながります。城南島から新木場駅付近までは、空いている時間帯であれば、わずか15分。湾岸エリアの一般道での東西移動時間が大きく短縮可能です。

 ただしこの道路は、コンテナ船の入出港がからむ時間帯など、非常に混雑することもあります。いったん渋滞に入り込むと他の道路に抜け出すことは事実上不可能になるため、利用の際はスマホアプリなどで道路状況を確認するようにしましょう。

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 以上、東京23区の「ワープルート」をお届けしました。もう開発する余地がないと思われがちな東京ですが、今後もまだまだこうした道が新規開通し、もっと便利になるかもしれません。まだ見ぬ未来に期待です。

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