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ついに出た「軍用ジムニー」ゴリッゴリの武装可能!? 欧州の名門メーカー初めて「ジムニーで作ってみた」

乗りものニュース 2024年7月4日 18時42分

パリで開催の防衛見本市「ユーロサトリ2024」に、日本でも人気の軽四輪SUV「ジムニー」がベースの軍用四駆が展示されていました。ただ、見た感じかなり改造されており、その面影はほとんどない状況でした。

ジムニーがゴリゴリの軍用車両になったら?

 スズキが製造する「ジムニー」は、世界で高い人気を誇る四輪駆動車です。一番の特徴は、他のクルマならスタックしそうな荒れ地も走り抜くことができる優れた悪路走破性で、軽自動車ベースで設計されているコンパクトな車体による運転のしやすさなどから、自家用としてだけでなく、民間企業や官公庁まで様々な用途に使用されています。

 そんなジムニーのポテンシャルは一般ドライバーだけでなく、それよりも要求レベルの高い軍事分野でも注目されているようで、このたびフランスのパリで開催された防衛見本市「ユーロサトリ2024」に、ジムニーの改造車両「フィネック2」が展示されていました。

「フィネック2」は、厳密に言うとジムニーの小型乗用車仕様である「ジムニーシエラ」をベースにしています。そのため、いわゆるオーバーフェンダーを装備しており、エンジンも軽自動車用の排気量658ccの直列3気筒ターボではなく、排気量1460ccの直列4気筒を積んでいます。

 またオーバーフェンダーのため、タイヤは幅広のオフロードタイヤに換装されているほか、車体は屋根もドアもないオープントップ仕様になっており、代わりに車体上部には3本のロールバーが前後左右に設置されています。

 フロントガラスはヒンジで前に倒れる、いわゆる可倒式に改造。車体上部には円形の銃座マウントを設けることで、ここに重機関銃やミサイル発射機などを設置できるようにしています。加えて、車体後部の荷台部分には各種装具だけでなくロケット弾やミサイルの予備弾コンテナを積載できるマルチラックも配置されていました。

 このように、かなりの部分に手が加えられているため、筆者(布留川 司:ルポライター・カメラマン)もフロントグリルのデザインや運転席のコンソールなどを確認するまでは、この車両の原型がジムニーであると判別できないほどでした。

「フィネック2」は当然ながらスズキが販売する公式のモデルではありません。この車両は誰がどんな目的で作ったものなのでしょうか。

製造は「改造ランクル」手がける仏企業

 この車両は、フランスの防衛系企業であるテクナム社が、市販されているジムニーシエラをカスタムしたものです。

 同社は軍隊や警察などといった法執行機関向けの特殊車両を主に手掛ける架装メーカーです。そのため、車両そのものは新規で開発しておらず、市販車を仕入れて相応の改造を施し、顧客に引き渡しています。同社は、すでにトヨタのランドクルーザーをベースにした「マスティック」シリーズを製造し、フランス軍などに納入しています。

 現在も、このマスティックを主力商品として、装甲キャビンと銃座を追加した装甲車タイプから、シャシーと車軸を追加し3軸6輪にストレッチしたトラックタイプまで、さまざまな軍用仕様の改造ランクルを販売しています。

 ただ、スズキのジムニーをベース車にしたのはこの「フィネック2」が初めてだそうです。

 なお、「フィネック2」は軍隊での運用を想定していますが、その用途は通常の軍用車両とは異なります。というのも、この車両はオープントップ型式のため装甲という概念がなく、敵からの攻撃を受けた場合は非常に脆弱です。ですから、戦車や装甲車のように敵に正面から挑むようなことができません。

 むしろ、この車両が想定している使用方法というのは、少数で隠密的に行動する特殊部隊であり、敵地での単独行動や平時での対テロ作戦などでしょう。

「フィネック2」は昨年(2023年)発表されたばかりの新製品であるため、現時点では軍隊などへの納入は行われていません。しかし、テクナム社自体はフランス軍や各国の軍隊・警察組織への納入実績があり、前出のマスティックは、すでにアフリカ地域で実任務に投入されています。

 マスティックの運用実績が「フィネック2」にフィードバックされることは間違いないため、ひょっとしたら近い将来、「フィネック2」もどこかしらの最前線に投入されているかもしれません。

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