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昔は黄色い帯?そうだったっけ…? 見慣れて“むしろ違和感”な首都圏JR電車5選

乗りものニュース 2024年7月13日 15時12分

大手の鉄道会社では、ある路線で用いていた車両を、塗装を変更するなどして別の路線へ転用することがあります。しかし転用後に時間が経過すると、元の路線での印象が薄れ、かつての姿を見て違和感を覚えることも。一時的に色を変えてしまった印象が強く残っていることもあります。

転属に伴うカラー変更

 首都圏のJR路線には多くの場合「ラインカラー」があり、その路線を走る車両にも反映されていますが、たまにその“異動”もあります。ラインカラーやデザインなどを変えて別の路線へ転属すると、やがて今の姿の印象が強まってくるものです。そうした昔と今とでイメージが違う車両は、いくつか存在します。

●209系電車500番台

 1998(平成10)年から2000(平成12)年にかけて製造され、当初は中央・総武線各駅停車へ導入されました。ラインカラーは黄色です。しかしそれから1年足らずで、一部の編成が京浜東北線へ転属。ラインカラーは水色となりました。

 その後も新型車両の導入などで、209系500番台は転属を繰り返したり廃車が出たりしますが、2024年現在は前出の通り、京葉線と武蔵野線で現役です。なお2018(平成30)年には中央・総武線各駅停車で使われていた編成が、ドアに半自動機能を追加するなどの改造を受け、3500番台として川越・八高線へ転属しています。

●E217系電車

 209系をベースに、1994(平成6)年に登場した近郊形電車で、横須賀線・総武線快速へ導入されました。ラインカラーは青色とクリーム色の「スカ色」です。E217系は新型車両への置き換えで、2024年現在は数を減らしていますが、基本的には同線のみで使われてきました。

 しかし一時的に、一部の編成が緑色とオレンジ色の「湘南色」へカラーを変更し、東海道線で運行されたことがあります。

 国鉄型113系電車を置き換えていた東海道線では2006(平成18)年3月、車両運用の都合上ピンチヒッターとして、E217系を横須賀線・総武線快速から転属させたのです。期間は2015(平成27)年3月まで。車両設備の点から東京~熱海間のみの運行となり、湘南新宿ラインや伊東線への乗り入れはありませんでした。

特急形ではデザイン変更の例が

●209系電車1000番台

 中央線快速でたった2編成だけのレア車両としても知られる209系1000番台は、同線へのグリーン車導入工事に伴う運用上のピンチヒッターとして、2018年から運行されています。つまり、もともとは別の路線で使われていたうえ、本来は転属せずに廃車となる予定でした。

 元の路線とは常磐線各駅停車です。ラインカラーはエメラルドグリーン。地下鉄千代田線と相互直通運転をする関係上、貫通扉を設けるなど、209系といえども前面形状が大きく異なっています。導入されたのは1999(平成11)年でした。

 今でこそオレンジ色のラインカラーである209系1000番台ですが、中央線快速でのグリーン車サービスが開始される2024年度末以降は、その去就が注目されます。

●特急形251系電車

 すでに廃車されていますが、東京~伊豆急下田間などを結ぶ特急「スーパービュー踊り子」やライナー列車としても使われた特急形251系は、リニューアル前後で外観の塗装が異なりました。

 1990(平成2)年の登場時は水色とグレーのツートンでしたが、2002(平成14)年のリニューアルに際してイメージを一新すべく、白色とエメラルドグリーンに青色の帯を配したデザインとなりました。同時に内装にも手が加えられ、回転式クロスシートの設置やシートピッチ拡大などが行われています。

 特急形が本来の役目を終えて別の列車で使われるようになったことでデザインを変える例はいくつかありますが、この場合は“本務”の途中でのリニューアルとなりました。同様のデザイン変更は2023年、「成田エクスプレス」に使われるE259系電車でも。それまで前面などに掲出されていた「N'EX」の文字や飛行機のロゴがなくなり、形式番号である「E259」を主張し、車体色も黒色からシルバー基調に。「空港アクセス」を前面に押し出したデザインから、「多様化した利用目的に合わせた都市間輸送特急」に合うデザインとなったのです。

リバイバルという遊び心

 ここまでは転属やリニューアルに伴うカラーやデザインの変更を挙げてきましたが、記念事業の一環として期間限定で、かつてのカラーやデザインをリバイバルする事例もあります。

●E231系電車(常磐・成田線)

 2021年4月、常磐線快速と成田線で使われるE231系が、我孫子~成田間の開業120周年を記念して、ラインカラーをエメラルドグリーンから「スカ色」へ変更しました。1990年代後半まで、同区間で運行されていた国鉄型113系電車をイメージしたものです。

 E231系が「スカ色」となるのは、2000(平成12)年に同系列が登場して以降初めてのことでした。リバイバルは2021年10月まで行われ、品川~成田間で運行されました。

 なお、これと入れ替わるように同年11月に登場したリバイバル車両が、同じく常磐線で使われるE531系電車です。青色だったラインカラーを小豆色へ変更のうえ、前面の窓下を白色からクリーム色としました。イメージしたのは、1985(昭和60)年まで同線などを走った国鉄型401系電車。「赤電」の愛称で知られます。

 このリバイバルは、E531系が所属する勝田車両センターの操業60周年を記念して行われたもので、当初は2022年度末までが予定されていましたが、好評を受け2026年度初めまでに延長されています。

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