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知られざる「自衛隊の万事屋」に突撃! 隊員なら必ずお世話になる組織「ファントムII」にも会えるぞ

乗りものニュース 2024年9月8日 9時12分

「チホン」の略称で知られる自衛隊地方協力本部。自衛官なら入隊前の採用試験から退職後の再就職先まで何かとお世話になりますが、一般人にはほとんど馴染みありません。そんな「知られざる組織」を突撃取材して決ました。

派手な装備はないけれど

 全国47都道府県すべてに置かれている防衛省・自衛隊の出先機関、それが自衛隊地方協力本部です。略して「地本」と呼ばれるこの部署は、広報から災害時の危機管理に加え、入隊から退職後の暮らしまで、自衛官なら必ずお世話になる自衛隊のオールラウンダーともいえる部署。ただ、戦車や戦闘機、護衛艦などといった派手な装備が配備されているわけではないため、自衛隊に興味があってもよほどのことがない限り、中に入ったことはないのではないでしょうか。

 ある意味「知られざる組織」ともいえる地本に、このたび海上自衛隊大好き漫画家の筆者(たいらさおり:漫画家/デザイナー)が潜入に成功しました!

 今回お邪魔したのは、神奈川県にある自衛隊神奈川地方協力本部。神奈川県を管轄地域とした自衛隊の総合窓口です。地本のお仕事はざっくりと「危機管理」「募集」「援護」「広報」の4つに分けられています。

「危機管理」は、災害時などに各自治体へ自衛隊派遣要請をする際の連絡調整や初動の情報収集などを行います。「募集」はその名のとおり、新入隊員の募集。入隊を希望する人はまず地元の地本に行くのがスムーズなので、入隊に興味のある方はぜひ足を運んでみてください。「援護」は退職する自衛官の再就職、企業情報収集や予備自衛官などの人事管理など、自衛官の「入口から出口まで」をサポートします。

 そして「広報」は基地開放などのイベントを通じて地域の理解を深める活動になります。自衛隊ファンとしては、全国各地で行われる広報イベントのイメージがありますよね。地本ごとにゆるキャラがいたり、トレーディングカードを作ってみたりと、親しみやすさがウリです。

 かつてSNSには、面白い公式アカウントを総称した「華麗なる公式」タグがありましたが、なんと「宮城地本」がそこに名を連ねていたほど。お堅い自衛隊のイメージが一新されたのも地本広報の努力のおかげと言えるかも。ちなみに今回の取材も地本の広報が担当してくれたんですよ!

貴重な「ファントムII」に触れる場所

 さて、神奈川地本は横浜中華街のすぐそばという立地のため、観光の途中に気軽に立ち寄れる隠れた自衛隊スポット! 建物内には、自衛隊の活動や制服などが展示された広報室が用意されているので、イベントに行かずとも自衛隊を深く知ることができます。

 筆者(たいらさおり:漫画家/デザイナー)も広報室は初めて入ったのですが、小ぶりな会議室ほどの広さにビッシリと模型が展示されているではありませんか!

 陸海空にわたって満遍なくズラリと並んだ模型の数々に、思わず圧倒されてしまいました。担当者によると、これらは有志によって寄贈されたものだそう。これなら実物の装備品がなくても目で見てイメージしやすいです。

 なかには過去に活躍した艦艇や退役したものもあり、歴史も踏まえて理解できるのがいいですね。自衛隊というと航空機はすべて空自の管轄だと思いがちですが、実は陸自や海自でも運用しているので、それぞれ用途や塗装の違いなどで陸海空を見比べてみるのも面白いかも。

 さらに神奈川地本では、かつて空自で活躍したF-4「ファントムII」の操縦桿やスロットルを動かすことができます。「ファントムII」はいまだに人気のある機体、引退すると聞いて写真を撮りに行った人も多いハズ。神奈川地本に来れば、まだ会えますよ!

 私は海自オタなので、艦艇の模型にまず食いつきましたが、F-4「ファントムII」の操縦桿に触った瞬間、興奮しすぎて広報の隊員さんに若干引かれたような……。広報担当者の口から出た「こんなに食いつかれたの初めてです」というコメントは、褒め言葉だと思うことにします。

 そんな神奈川地本のボスは、練習艦「かしま」の艦長を務めたこともある大谷三穂1等海佐。女性自衛官としてさまざまなキャリアを積んだ彼女を取材しに、この場所を訪れたのですが、思いがけない場所で興奮してしまいました。

 大谷1佐にも、タイミングが合えば神奈川地本を訪れた際に会えるかもしれませんよ。

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