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紅海で損傷を受けたタンカー「原油15万リットルが漏れる危機性」米国防総省が攻撃した組織に警告

乗りものニュース 2024年9月2日 17時12分

漏れれば周辺環境に多大な影響。

炎上中との情報

 アメリカ国防総省は2024年8月27日、イエメンの反政府勢力フーシ派に攻撃された石油タンカー「スニオン」が、海の環境に悪影響を与える懸念があると発表しました。

 ギリシャ船主所有・リベリア船籍の同タンカーは、8月21日にスエズ運河を抜けて紅海に入った際、フーシ派によるものと思われるミサイルや水上自爆ドローンの攻撃を受けてエンジンを損傷し、航行不能に陥りました。

 乗っていた船員に関しては、救援要請を受けたEUのアスピデス作戦艦隊所属のフランス海軍フリゲート(EU艦隊では駆逐艦扱い)「フォルバン」が急行し、周辺の水上自爆ドローンを撃沈して救出しましたが、移動手段を失った「スニオン」は、原油15万トン、石油換算で約100万バレルに相当する量を積んだまま紅海を漂流した状態です。

 同件についてアメリカ国防総省のパトリック・ライダー報道官は「原油が漏れているようだ」と発言し、「同船の曳航を支援するためにタグボート2隻を派遣したが、フーシ派に支援を拒否され、攻撃すると脅された」として、このまま本格的に原油が流出した場合、大惨事になる可能性があると警告しました。

 8月26日には、紅海に派遣されているアスピデス作戦艦隊が前日に撮った「スニオン」の状況を公式Xで公開。原油流出の明らかな兆候はないと発表しましたが、8月23日からデッキ上の少なくとも5か所でフーシ派の放火と思われる火災が発生していると報告しました。

 また、アスピデス作戦艦隊は「航行上の危険と差し迫った環境上の危険の両方があるため、この海域を航行するすべての船舶は細心の注意を払う必要がある」と呼び掛けています。

 紅海やアデン湾では、フーシ派の商船に対する攻撃が活発化しています。フーシ派は当初、イスラエル・パレスチナ自治区のガザでイスラエル軍と戦うイスラム組織「ハマス」との連帯を表明し、イスラエルに停泊するなど直接的な関係のある商船を攻撃すると宣言していました。しかし、イスラエルと関係が希薄な商船も標的になっていることから、EUのほか、アメリカ、イギリス、カナダ、インドなどの国々が海軍を派遣し、商船の護衛に当たっています。

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