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つなげて欲しい! 東京郊外「ビミョ~な乗換駅」毎日ゾロゾロ大移動 うまくつないだ例も

乗りものニュース 2024年9月27日 17時12分

東京圏は複数の鉄道路線が密接につながり、相互の乗り換えによるネットワークを形成していますが、特に郊外には「微妙につながっていない」駅どうしがあります。乗り換えの利便性もまさに微妙。つなげる計画はないのでしょうか。

なんでつながってないの!? 乗り換えづら~い郊外の駅

 東京は世界でも有数の鉄道のネットワークが発達している都市のひとつです。都心部では「どの方向に歩いても3分以内に駅がある」といったエリアが珍しくありません。そのネットワークは、郊外においても放射状の路線どうし、もしくは環状の路線が密接に補完しあい、利用しやすい環境を形作っています。

 ところがそうした郊外で、「通勤や通学の乗り換え駅として重要なのに、なぜか直接つながっていない駅」が複数存在します。そうした駅と、それぞれの駅の“乗り換え事情”をご紹介しましょう。

新秋津駅(JR武蔵野線)-秋津駅(西武池袋線)

 JR武蔵野線はさいたま市方面、西武池袋線は池袋方面へ、重要な通勤通学路線で、相互の乗り換え需要も少なくありません。しかしこの両路線が東京都東村山市内で交わるところに駅はなく、JR武蔵野線は「新秋津駅」、西武池袋線は「秋津駅」が、その交点からややずれて設置されています。

なお、秋津駅は西半分が東村山市、東半分が清瀬市に所在しますが、上り線ホームの一部は埼玉県所沢市に属すなど、都県境や市境が入り組んだ場所となっています。

両駅のホームの端と端の距離はわずか100mほどですが、乗り換えは改札を出て、狭い商店街をジグザグに350mほど歩く必要があります。朝のラッシュ時は歩行者の数も多く、かなりのストレスです。

 この“乗り換え問題”については、埼玉県議会でも県民の不満およびインバウンド振興の観点から、地下道設置を求める質問が行われていますが、県は「地元駅前のまちづくり計画の検討が重要」と答えるにとどまっています。

本川越駅(西武新宿線)-川越駅(東武東上線/JR川越線)

 古い街並みで知られる埼玉県川越市の中心部には「川越市駅」「本川越駅」「川越駅」という3つの駅があり、川越市駅には東武東上線が、本川越駅には西武新宿線が、川越駅には東武東上線とJR川越線が発着するという、複雑な関係となっています。

 このうち東武東上線とJR川越線は川越駅での乗り換えが至近です。東武東上線と西武新宿線はそもそも近かった川越市駅と本川越駅の間を直線的に結ぶ道路が2016年に開通したことから、それほどの不便さはありません。

 しかし西武新宿線とJR川越線の乗り換えは、市街地を800mほど歩く必要があり、駅構内での移動時間も含めると、乗り継ぎには15分はかかるとみていいでしょう。

 それぞれの駅前には繁華街が広がり、再開発による一体化は困難です。

「つなげろよ」実現した駅、しなかった駅、しそうにない駅

 微妙に離れた駅どうしが“うまくつながった”例もあります。

京王八王子駅(京王線)-八王子駅(JR中央線/横浜線)

 多摩地区最大の都市、八王子市の中心部には、東西を横切るJR中央線に「八王子駅」が、そして南からは京王線がそのJR線を横切り、八王子駅の北東の「京王八王子駅」を終点としています。

 両駅間は400mほどと、徒歩で乗り換えるには微妙な距離です。また京王八王子駅は地下駅で、八王子駅から北には地下自由通路が延びていますが、双方の地下はつながっていません。

 ただJR、京王とも西の高尾、東の新宿と自社路線で連絡しており、JR横浜線と京王線の乗り換え需要も橋本駅でカバーできることから、この両駅の乗り換え需要はそれほど大きくなく、川越で見られるような不便さはないと考えていいでしょう。

 ちなみに過去には八王子駅のすぐ北に京王線が乗り入れるという計画もありましたが、その後、消滅しています。もしこれが実現していれば、八王子の街並みは大きく変わっていたかもしれません。

京成船橋駅(京成本線)-船橋駅(JR総武線/東武アーバンパークライン)

 かつては不便だった駅同士の徒歩移動が、一転して便利になったのが、この「京成船橋駅」と「船橋駅」との関係です。両駅の間は100mほど、並行して走る京成本線とJR総武線との乗り換え需要のほか、北から延びてくる東武アーバンパークラインとの乗り換え需要もあり、地上の歩道を歩くにはやや面倒な距離でした。

 しかしこの地域の再開発(船橋駅南口市街地再開発事業)により、船橋フェイスビルが2003年に完成。ビルの中を通っての乗り換えが可能となっただけでなく、ショッピングエリアや行政サービスの窓口も設置されたことで、「便利な乗り換えルート」へと変貌したのです。“駅が離れていること”を逆手に取った成功例と言えるでしょう。

京成津田沼駅(京成本線/新京成線)-津田沼駅(JR総武線)

 船橋と同じく京成とJRとの関係ですが、ちょっとイマイチなのがこちら、「京成津田沼駅」と「津田沼駅」です。

 津田沼駅は、すぐ目の前の新京成線「新津田沼駅」と一体となって、このエリアの繁華街の中心を形成しています。しかし「京成津田沼駅」はその南東、津田沼駅からの徒歩ルートでは約1km離れており、歩くにはちょっと……という距離です。

 新津田沼駅から京成津田沼駅のあいだも新京成線が走っていますが、運賃は通しではなく一部の利用区間を対象に「乗継割引運賃」が適用されるだけなので、割高感が否めません。

 なお京成は新京成を2025年4月に吸収合併することを発表していますが、運賃体系は据え置きとなる見込みです。

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 以上、東京郊外の“微妙な乗り換え駅”の関係をご案内しました。いったん定まった駅同士の関係、街の形に力を加えるのは大きな苦労が伴いますが、将来に向けて、より利用しやすい形に変わっていってほしいものだと思います。

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