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新型電車「ナントカ系!」←昔いたよね? 「形式名」はなぜ使い回されるのか 同じ名前の2代目・3代目も!?

乗りものニュース 2024年10月13日 15時12分

1000系、2000系といった鉄道車両の形式名を、新しい車両が“襲名”するケースが増えています。中には初代と2代目の車両が同時期に重複する場合も。はるか昔に決まった慣習が尾を引いていることもあります。

京王の新型「2000系」←昔にもいました

 鉄道車両の形式名は旧国鉄・私鉄を含め鉄道会社ごとに異なっています。旧国鉄・JRの形式は、一部例外を除き細かなルールに則って決められていますが、大手私鉄などでは主に3桁や4桁の数字を用います。

 しかし、4桁形式の「千の位のみを変える」付番方法では、1000から9000の9形式しか形式を用意できません。

 そのため、数十年にわたって時間が経過すると、以前使っていた形式をもう一度使用する車両が登場します。

 例えば京王電鉄を見てみましょう。4桁形式は、これまで1000、2000、3000、5000、6000、7000、8000、9000系があります(4000系は「忌み数字」なので使用していない)。これを見ると、同社では1000系から9000系まですでに埋まっていることがわかります。つまり新しい車両を出す場合は、自ずとこれらの数字をまた使う必要が生じるのです。

 その最新例が、2026年にデビュー予定の2000系電車です。

 しかし京王には、かつて2000系という車両が存在しました。つまり、今度登場する2000系は、2代目2000系ということになります。

 初代2000系は1957(昭和32)年に登場。カルダン駆動の新性能車として、京王線の近代化に貢献しました。車体塗色が緑色だったことから、改良版の2010系とともに京王線最後の「グリーン車」となりました。

 そして京王といえば、名車の誉れ高い5000系が有名です。1963(昭和38)年にデビューした5000系は、アイボリーにえんじ色の帯、パノラマミックウィンドウを採用した優美な前面、車体裾を絞った広幅車体など、新しいデザインを採用。京王線のイメージを大きく変える立役者となりました。

 1996(平成8年)には全車の運用が終了しましたが、2018年より開始された京王線の座席指定列車用車両に、かつてのフラッグシップだった5000系の名が与えられました。

 そのほか京王では、井の頭線で使用されている1000系も2代目にあたります。初代1000系は、京王線用初代2000系の井の頭線版で、こちらも緑色の車体が特徴でした。

特急が通勤電車に“転生”も?

 これ以外にも2代目車両は、関東の私鉄に多く見られます。

 東急電鉄では、3000系・5000系・6000系・7000系が2代目車両です。

 初代3000系は様々な旧型車を便宜上まとめた総称ですが、2代目3000系は2000(平成12)年からスタートした目黒線と地下鉄南北線・都営地下鉄三田線との直通運転用に作られた車両で、系譜的なつながりはありません。

 同じように、1960(昭和35)年に登場した試作車的要素が強いステンレス車・初代6000系に対し、2代目6000系は大井町線急行用のため、ほぼ関連性がありません。

 また、アメリカのバッド社と東急車輛製造の技術提携で誕生した日本初のオールステンレス車両で、東横線・地下鉄日比谷線直通に使用された初代7000系に対し、2代目7000系は池上線・東急多摩川線ですので、こちらも同様です。

 一方、初代5000系は、高抗張力鋼を用いたモノコック構造、カルダン駆動など当時としては画期的な技術を満載して1959(昭和29)年に登場。長らく東横線で活躍しました。2代目5000系は田園都市線用ですが、東横線用に5050系も投入されており、車両の伝統を感じさせます。

 小田急電鉄では、3000形・4000形・5000形が2代目として活躍中です。3000形に至っては初代がロマンスカー、2代目は4扉の通勤電車ですから、その違いに驚かされます。

 京成電鉄にも、3000形・3100形とスカイライナーのAE形に初代・2代目が存在しています。近々、3200形が導入されますが、こちらも2代目を襲名することとなります。

ややこしい「京急」

 京王・東急・小田急・京成ともに、初代車両はすべて運用を終了しており、初代・2代目が同時期に使用されたことはありませんが、京急電鉄の1000形に関しては、初代1000形が引退した2010(平成22)年と2代目1000形が運用を開始した2002年(平成14)年の約8年間にわたって併用されていたのは興味深いところです。

 なおややこしいことに、京急の初代1000形は、登場時は800形を名乗っていましたが、のちに2代目の800形が登場しています。かつての快速特急用車両600形も、デビュー時は700/730形でした。こちらも、のちに700形の2代目を迎えています。

 ところで、かつて京王・東急・小田急・京急の4桁数字には「割り当て」が決まっていました。この4社は、第二時世界大戦直前では京王電気軌道、東京横浜電鉄、小田急電鉄、京浜電気鉄道と称していましたが、1942(昭和17)年以降、相模鉄道なども含めてすべて東急に合併。「大東急」と呼ばれる体制に移行しました。

 その際、各社バラバラだった形式の重複を避けるため、旧小田急および井の頭線が1000番台、旧京王が2000番台、旧東京横浜電鉄が3000番台、旧京浜電気鉄道が5000番台と決められました。

 このルールは、戦後再び4社が分離したのちも、しばらく残りました。京王1000系は井の頭線用、京王2000系は京王線用、東急3000系といった形式から、その付番方法が守られていたことがわかります。

すでにいる!同じ会社で「3代目」

 このほか、国鉄キハ40系、江ノ電500形、名鉄600形、京阪600系・1000系、福井鉄道モ140形なども、初代と2代目がある(あった)車両です。近鉄600系・2000系、名鉄3300系などに至っては、3代目まで存在します。

 2代目以降の形式を持つ私鉄車両の中には、前述の京急1000形のように、登場時は800形だったものの形式変更で1000形に編入された車両や、近鉄1250系のように、後から製造された他の車両(この場合1230系)の番号が追いついてしまったため、1420系に改番されたという例もあります。

 主力形式が時代の流れによって消滅し、新たに登場する別の車両が受け継ぐという重複形式は、これからも増えていくと思われます。今後、どのような車両が登場するのでしょうか。

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