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「中国製旅客機」まさかの国に売れるかも? 「欧米のお墨付き」まだだけど…どこが買うの?

乗りものニュース 2024年10月18日 7時42分

中国のジェット旅客機「C919」が新展開を迎えました。欧米の実用化基準をクリアする前段階にも関わらず、ある国の航空会社が購入するかもしれないのです。

欧米からの「お墨付き」はまだ未取得

 ボーイングやエアバスといった大手航空機メーカーに対抗すべく、中国が生み出したジェット旅客機「C919」が2024年9月に新展開を迎えています。このC919は、グローバルスタンダードである欧米の実用化基準をクリアする前段階ですが、遠く離れた国の航空会社が購入を希望しており、同時にその「遠方」との商談も注目のキーワードとなっています。

 中国が自分たちで開発したとするジェット旅客機C919は、150~170人乗りでエアバスA320とボーイング737という世界的ベストセラーと同クラスの小型ジェット機です。

 C919を中国はA320と737のライバルにしようとしていますが、現状でこの機は、欧米の「型式証明」という、その飛行機のモデルが一定の安全基準を満たしているかどうかを審査する、“お墨付き”を取得していません。そのため、現状では中国の「型式証明」を取得のうえ、同国内の航空会社の国内線に使用するといった使われ方が主流です。

 しかし、中国は2024年2月のシンガポール航空ショーでC919を公式海外デビューさせ、海外進出への決意表明を印象付けました。同航空ショーではチベット航空から40機の受注も発表されています。このほかブルネイのギャロップエアの購入も伝えられています。

 そして、今回購入を検討していると新たに報じられたのが、ブラジルのトタル・リンハス・アレアスというチャーター航空会社です。

出現した「中国製飛行機買います」航空、どんな会社?

 トタル・リンハス・アレアスは1988年に創設され1996年に旅客輸送も可能になりましたが、経済状況から貨物輸送を主にしているということです。公式サイトによると、保有機はボーイング737と727や、プロペラ機ATR42など9機。大きな航空会社といえません。こうした航空会社が保有の増強を行う場合、たとえばこの会社であれば737シリーズの中古機など、同系統のモデルを導入することが一般的です。

 そのようななか、なぜ新造機となるC919の購入を目論んだのか、また、チャーター用途と思われるもののC919をどのような使い方をするのかも明らかになっていません。

 購入機数も最大4機と伝えられていることから、事業規模も合わせて大口ユーザーになることはないでしょう。ただし、このことは、中国がアジア圏以外での商談に真剣に取り組んでいることを意味していると容易に想像できます。

 先述のとおり、C919は欧米の型式証明を取得していないことから、市場として大きい米国と欧州で販売できないうえ、欧米の型式証明は実質世界標準のため海外で広く販売するのは難しいと見られてきました。

 しかし、ブラジルという中国にとって遠方からの購入の声は、アジア圏以外でC919へ目を向けている国があることを意味します。また、中国が各国へC919のセールスへ力を入れていることも改めて分かりました。

 中国にとってこれは、ボーイングとエアバスがほぼ独占している市場への攻勢をかけるのには好都合なもので、2社は中国に対し、商業的な警戒心を高めるでしょう。

 また、今回C919の購入契約が成立すれば、その後は就航時期やアフターサービスへと注目が移ります。

 アジア圏と異なる、大きな時差のある遠方へ補修や交換部品の補給を滞りなく行い、トタル・リンハス・アレアスでC919の就航率が良い成績を示せば、ほかの南米諸国への足掛かりになる可能性もあるでしょう。それは、サービスに対する他国の中国への評価向上につながるかもしれません。

 それだけに中国は今回の商談を是が非でも成功させたいと思われます。

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