補給時間短縮に役立つ?
ミサイルは海上で補充する時代に?
アメリカ海軍は2024年10月15日、タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦「チョーシン」で、史上初めて洋上航行中に垂直発射システム(VLS)への再装填を実施したと発表しました。
太平洋で行われたこの実験は、ここ数年紅海などで頻発している商船を狙ったミサイル攻撃などへの対策として行われたようです。今までは、艦艇の垂直発射システム内に搭載された迎撃ミサイルなどを撃ち尽くすと、場合によっては数100km離れた基地に帰り再装填する必要がありました。
しかしそれだと迅速な船舶護衛ができないため、考え出されたのがTRAM(Transferrable Reload At-sea Method:海上移転再装填)という装置を用いた再装填です。
今回の実験では、 ルイス&クラーク級弾薬輸送艦「ワシントン・チェンバーズ」に全長7.62mのミサイルコンテナを複数積み込み、TRAMに内蔵されたケーブルと滑車を使用し、垂直発射システムの各セルに装填を行いました。
元々航行中での再装填は、1990年代にも考えられていたそうですが、冷戦終結により実用化されることはなかったようです。
しかし、2022年10月にはTRAMとして復活させ、陸上での実験を実施。今回初めて洋上実験を成功させたということで、再装填技術の実戦投入を最優先事項としていたカルロス・デル・トロ海軍長官は「この実験は、海上での持続的な運用を実現する上での重要なマイルストーンとなります」と発表しました。