飛行機に使用する「ジェット燃料」は港から敷地内まで、タンカーやタンクローリーで運ばれるのが一般的。しかし成田空港だけ国内唯一のレアな方法を用いているそうです。どんなやり方で、なぜなのでしょうか。
約50kmの「パイプ」で送油
飛行機を飛ばすための「ジェット燃料」は、沿海部にある製油所で精製製造され、タンカーやタンクローリーなどで国内各地の空港まで陸送される、もしくは沿岸にある空港では船で輸送されることが一般的です。しかし成田空港では、いずれでもない、非常にユニークな燃料の運ばれ方をしています。どういったものなのでしょうか。
成田空港では、東京湾に面した千葉市から空港のある成田市まで47kmにわたって送油用パイプがつながっており、それを介して空港に燃料が届けられるという、全国的にもユニークな方法が採用されています。現在、千葉港から伸びるパイプのルートは千葉市内を抜けたのち、宮野木JCT(千葉市稲毛区)から東関東道に沿うような形で空港までつながっています。
成田空港は多数の国際線の発着を前提で造られた空港です。国際線はフライト時間が長い分、燃料も非常に多くを要します。また、羽田空港や関西空港といった国内で国際線が多く発着する空港は、沿岸部にあるためタンカーの受け入れ施設自体が空港にあるものの、成田空港は内陸があるためこれができません。こうして生まれたのがこの「パイプによる燃料輸送」です。
なお、パイプラインが完成したのは、同空港が開港してから5年後の1983年。それまでは、暫定的に鉄道を用いて燃料を輸送していました。