愛知県三河地域を貫く国道23号バイパス「名豊道路」。その最後の開通区間には途中ICがひとつ設けられます。「こんな山なの…?」との声も漏れた立地ですが、実は今後大きく変わりそうです。
蒲郡バイパスの途中ICが、“山すぎる…”
愛知県の三河地域を貫く72.7kmのバイパス、国道23号「名豊道路」がまもなく全線開通を迎えます。その最後の建設区間である「蒲郡バイパス」II期9.1km(豊川為当IC-蒲郡IC)が、2024年11月7日に報道陣へ公開されました。
そのなかで「こんな山にICが……?」「どんな需要?」との声が一様に漏れたのが、今回の開通区間で唯一の途中ICである「御津金野(みとかねの)IC」です。
御津金野ICは愛知県豊川市に所在。この区間には並行して、海側に東海道本線や国道23号の現道が、さらに山側に名鉄本線や国道1号、東名高速が通っていますが、ICはその中間、御津川沿いの山間部に位置しています。
IC周辺は西、北、南に山が立ちふさがり、豊川為当IC周辺の平野に出るか、峠越えをして蒲郡市街に出るしか道がありません(北西へ抜ける三河湾スカイラインは長期通行止め)。既存の鉄道や国道、高速道路が避けたルートを、蒲郡バイパスは2本のトンネルと大規模な切土区間で抜けていくのです。
御津金野ICの前後は、ゴルフ場の敷地を一部譲ってもらい、大規模な切土工事を行って名豊道路の本線を通しています。御津川の北側の県道からICまで、県がアクセス道路を建設しているものの、そこはゴルフ場の山に阻まれた行き止まりです。「ICの後背地があまりにも狭い」というのは誰の目にも明らかでしょう。
ただ、周りは今後、大きく変わる予定です。
まず、名豊道路に並行して、一段低い位置に別の道路が建設中です。これは、前出した御津川北側の県道「豊川蒲郡線」のバイパスで、ICへのアクセス道路も、このバイパスの一部となります。
現時点で名豊道路の未開通区間である豊川為当IC-蒲郡IC間は、多くのクルマが国道23号現道か国道1号へ迂回していますが、この御津川ルートも抜け道になっているとのこと。このため、すれ違いが困難な狭い集落区間を避ける1.5kmのバイパス(アクセス道路含む)を建設しています。
さらに、御津金野ICに立ちふさがる山も、「今後、トンネルが抜けて、ここは“交差点”になる予定です」と、国土交通省の担当者が教えてくれました。
これは都市計画道路「大塚金野線」といい、御津金野ICから南へ、東海道本線の三河大塚駅付近に至る約3.2kmの道路。ゴルフ場を620mのトンネルで抜け、海沿いの東海道本線、東海道新幹線と立体交差しながら国道23号までを結び、大型リゾート施設のある「ラグーナ蒲郡」地区とも直結します。この静かな山間の集落が、海沿いのリゾートとつながるとは、にわかに信じがたいところですが、この事業は2024年度から始まっています。
このほか、御油金野ICから北の山を越えて、名鉄御油駅付近の国道1号につなげる「金野御油線」の計画もあります。名豊道路の全線開通を機に、この周辺では滞っていた道路計画がいくつか動き出しています。