2025年春に、東京高速道路(KK線)が廃止されます。
八重洲線は長期通行止め
東京高速道路は2024年11月12日、首都高都心環状線の日本橋区間地下化事業に伴い、東京高速道路(KK線)の京橋JCT~汐留JCT間を2025年4月上旬に廃止すると発表しました。
KK線は、戦後復興と渋滞緩和を目的に銀座周辺の外堀、汐留川、京橋川を埋め立てて高架道路にしたものです。1966年に蓬莱橋~新京橋間の全線が開通。1973年には首都高速八重洲線と接続し現在の形となりました。
敷地は東京都から賃借していますが、道路の建設費や運営費は道路下の「銀座コリドー街」「銀座インズ」「銀座ファイブ」といったテナントビル(14棟、約400店)の賃貸収益で回収しているため、クルマの通行は無料です。
道路延長は約2kmで1日約3万台の利用があります。都心環状線をはじめとする首都高速の路線網を実質的に補完しており、特に都心環状線と経路を選べる神田橋JCT~汐留JCT間は、八重洲線とともに片道1車線分の役割を担っています。
このKK線が、2025年4月に廃止を迎えます。理由は、日本橋を通る首都高都心環状線の地下化と、それに伴い整備する新京橋連絡路の存在です。
都心環状線は、日本橋区間が地下化されると江戸橋JCTの連絡路も一部が廃止され、京橋方面と神田橋方面の直通ができなくなり、環状機能を失います。
そのため、八重洲線と都心環状線をつなぐ新京橋連絡路を新たに整備します。
新京橋連絡路は、八重洲線とKK線が接続する西銀座JCT付近から都心環状線の京橋JCT付近までを東西に結ぶ路線です。現在のKK線が走るルートの地下に造られます。これにより神田橋方面と京橋方面の間には、八重洲線と新京橋連絡路を経由する新たな環状ルートが形成されます。
そしてこの新・環状ルートができることでKK線の役割が大きく低下することから、都は2019年に有識者らによる検討会を設置し、KK線の将来の活用・再生について検討を開始。2023年には、KK線を廃止し、歩行者中心の公共空間に転換する都市計画決定が行われました。
今回の廃止発表に際し、東京高速道路の加藤浩取締役社長は次のようにコメントしています。
「東京高速道路(KK線)は、2025年4月上旬を以て自動車専用の道路としての役割を終えることとなりました。長きにわたり、KK線をご利用頂いた皆様、近隣はじめご支援頂いた皆様には、心より感謝申し上げます。
このたび東京高速道路(KK線)を、歩行者中心の公共的空間として再生することとなりましたが、道路下の商業施設等はこれまで通り営業しておりますので、引き続きご愛顧のほどお願い申し上げます。」
なお、汐留出入口と東銀座出口は、KK線廃止後も利用が可能です。また、KK線に接続する首都高速八重洲線は、八重洲トンネルを造り替えるため、2025年4月上旬から2035年度まで長期通行止めになります。
2025年度に日本橋区間の地下化と新京橋連絡路が工事着手され、2035年度に新しい八重洲線と新京橋連絡路が開通。さらに2040年度にかけて日本橋の上を通る都心環状線の高架橋が撤去される計画です。また、KK線の跡に整備される歩行者空間は、2030年代から2040年代に、段階的に開放していく予定です。