首都高C1都心環状線の「大改造」に伴い、八重洲線が長期通行止めに。これに伴い首都高の知る人ぞ知る“謎のスポット”も見納めになります。
東京駅へストレートイン 不可能に?
首都高速は2024年11月12日、日本橋区間の地下化工事に伴い、2025年4月上旬から高速八重洲線を長期通行止めにするとともに、ネットワークを形成する東京高速道路(KK線)が廃止になると発表しました。
この八重洲線の通行止めは最短でも2035年度までという長期に及びます。そして、この通行止めでによって、首都高の知る人ぞ知る「珍スポット」も、しばらく閉鎖となることが発表されました。「八重洲乗客降り口」です。
この降り口は、クルマで東京駅に人を送り届ける際、下を走る八重洲トンネルから直接降ろすことができる場所となっており、八重洲線の北向き(5号池袋線方面)、南向き(1号羽田線方面)の両方に、それぞれ出口が設けられています。
一見、地下のタクシー乗り場のような構造になっていますが、人を降ろすことのみが許されており、乗せることはできません。スペースも限られているので、「降車後は速やかに車両を移動してください」という張り紙もあります。
降り口すぐ近くにはドアがあり、その先の階段を登ると、東京駅八重洲口に隣接する八重洲地下街に続いていますが、そのドアも、八重洲地下街側からは開けられないようになっているのです。
実はそこまで使っている人は多くないかも?
便利な施設に見えますが、降車専用スペースということで、そこまで使用頻度は高くなさそうです。以前筆者(斎藤雅道)が使った際に乗ったタクシー運転手に話を聞くと「都内でタクシーに20年乗っていて、今まで2回くらいしかそういうお客さんに会ったことがない」という回答でした。
ただ、その運転手さんによると、新幹線などを利用する予定で、終電もしくは目的の時間よりも早くたどり着きたいという人には、この「八重洲乗客降り口」は向いているそうです。事実、過去の2例のお客さんは新幹線利用目的だったとのこと。確かに、ここからは新幹線乗り場の近くに出ることができます。
なお、タクシーを運転している側としては注意点があるとのこと。
まず、ここで降りると高速道路の料金が確定していない状態なので、調べた金額を手動で入力する必要が出てくるそうです。それを忘れると高速料金は運転手の自腹になってしまいます。
また、入るのに2.1mまでの高さ制限があるため、ミニバンタイプのタクシーだと、引っかかる可能性を考えて断ることもあるといいます。さらには、トンネルの本線が暗く、入口がよく分からないため、かなり集中力を使うとか。
なお、10年間以上「八重洲乗客降り口」が使えないことは確定していますが、日本橋地下化工事の完了後の使用再開も確約はされていません。せっかくなので、八重洲乗客“出入口”になって復活してもらえると便利かもしれません。