11月は警視庁の「交通違反長期未出頭の追跡捜査強化推進」実施月間です。交通違反をしたまま反則金未納や、出頭要請に応じないままでいると、どうなるか。リアルな“末路”がわかりました。
経験者、これはマズいと気付いたのは留置場に入れられたとき
2024年11月は警視庁の「交通違反長期未出頭の追跡捜査強化推進」実施月間です。交通違反をしたまま反則金が未納だったり、出頭要請に応じないまま忘れていたりしないでしょうか。東京都内の交通違反者は注意が必要です。
反則金制度で違反者に手渡される青色の用紙、いわゆる“青切符”で処理される交通違反は、反則金を納付する簡易な手続きで終了します。ただ、納付期限を超えて、反則金の納付請求にも応じないと、違反者が「反則金制度での処理を望まない」と解釈され、道路交通法違反の容疑者として扱われ、裁判に移行することになります。
逮捕状を執行される状況に、直面した経験者に話を聞きました。直面するまで“軽い”交通違反だから、逮捕といってもたいしたことはないと考えていたそうです。
「もう10年以上前の体験ですけどね。これはヤバいと思ったのは、警察署から検察に移送された午後のことです。強化月間で容疑者が多いから待ってろと言われて、留置場のようなところに入れられて、自分と同じ違反者らしき人が10人近くも所在なく立っている。ああこんなにもたくさん同じような人が、こんなところに……ってショックでした」
法務省が管理する被疑者を収容する施設のことは「刑事施設」と呼ばれていますが、警察が管理する留置場とほぼ変わりません。
逮捕状を持った警察官が自宅にやってきたのは、午前中の早い時間だったそうです。
「呼び鈴を聞いてドアをあけたら逮捕状を見せられた。頭が回っていなかったせいで生返事しながら部屋の奥に向かうと『ベランダにも(警察官が)いるぞ』と言われて、そんな大げさなって、最初は軽く考えたんです」
そして、「何時何分、逮捕」という宣言で手錠をかけられた時も、「ドラマと同じじゃないかって、むしろ感動したほど。まあ、たかが交通違反だと思っていたせいでしょうね」
しかし、それは序章にしかすぎませんでした。反則金で処理されるような違反でも、容疑者として逮捕されると、警察での事情聴取、検察での事情聴取を経て、裁判を受けることになります。判決で有罪になると罰金刑以上が言い渡されることになります。
「逃げ得」は許さない、追跡捜査に経験者は
「違反切符をもらった時点で認めていたので、午前中の警察署での事情聴取は、刑事さんと普通の会話で終わりました。『本当は飯代を払ってもらうところだ』と言われながらカップラーメンをおごってもらったりした」と、前出の人物は続けます。しかしその後、留置場へ移され、状況が一転することに。
「(連れていかれた場所は)あまりも異世界。入れられる前に一息つきたくてトイレの場所を聞くと『そこにある』って指さされた先には、むき出しの便器。頭が真っ白になりました。さすがに不安で『いつ帰れますか』って聞くと、終わらなければ何日も泊まってもらうことになると言われて。ボコボコに殴られた感じ。これはただ事でないと思い知りました」
警視庁交通部は、こう告知しています。
《交通違反を犯し、再三の出頭要請に応じない者に対して追跡捜査を開始します》
これが「交通違反長期未出頭の追跡捜査」と呼ばれるもので、警視庁は年に2回、6月と11月を「強化推進」の月間と位置付けて、違反者の摘発に乗り出しています。
この告知の実施内容の説明は簡潔です。
《再三の出頭要請に応じない悪質な交通違反者の逃げ得を許さないため、追跡捜査を強化し、逮捕状を執行します》
前述の経験者は、こう反省の弁を口にします。
「検察の事情聴取を終えて、裁判を略式にするか、本裁判にするかと問われて『略式』でと即答しました。声には出さなかったけど、一刻も早く帰りたいだけでした。罰金も反則金とほぼ変わらず、すぐに納付することもできたので、夕方までには終わりました。本当によかったです」
そして、今も反省しているそうです。
「反則金納付がのびのびになっているうちに、それでもいいかってすませていたのですが、そうじゃない。軽い違反だからこそ、さっさと終わらせておけばよかった。同じような境遇の人は、迎えが来る前にぜひ終わらせておくことをお勧めします」
追跡捜査は、他の道府県警察でも実施されています。