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「宿が高すぎる!そうだ『夜行バス』だ!」追い風は“今だけ”なのか? 廃止も相次ぐなかの利用実態

乗りものニュース 2024年11月18日 9時42分

宿泊費の高騰で、夜行バスに追い風が吹いているようです。久しぶりに使った人は、どんな点にメリットを感じているのでしょうか。業界は、コロナからの長く暗いトンネルを脱したのでしょうか。

宿代が下がったら、もう夜行バス使わない?

 宿泊費の高騰で「ビジネスホテルに1万円では泊まれない」――こうしたニュースも飛び交うなか、「夜行バス」に追い風が吹いているようです。

 高速バス「ウィラー・エクスプレス」を傘下に持つウィラーが2024年11月、直近1年以内にウィラー・エクスプレスを利用した1820人のアンケート調査結果を公表。ホテル代の高騰が夜行バス市場に及ぼしている影響を分析しました。

 同社によると、コロナ前と比べて宿泊費は約31%高騰しているといいます。高速バス運賃や航空運賃の約10%、テーマパーク入場料の約22%という伸び率と比較しても、宿泊費が旅行費用のなかで特に高騰しているとのこと。

 アンケートの結果、「ホテル等宿泊料金の高さを理由に、夜行バスを選択した」という人は、1627人中の62%に上ったそうです。

 また、1820人中の約2割が「宿泊料金が高くなる前は夜行バスを全く使わなかった/しばらく使っていなかった」と回答。しているといいます。

 さらに同社は、「もし宿代が下がったら、夜行バスを使わなくなってしまうのか」も分析しています。

 今後も「夜行バスを利用してもよい」と答えた人の理由の約4割は「他の交通手段よりも安い」だったといいます。一方、「寝ながら移動ができてタイムパフォーマンスがよい」「早朝から行動したり、深夜まで行動したり、現地での時間の融通が利く」を挙げる人も、それぞれ約2割いたとか。

 この結果からウィラーは、「仮に宿泊料金が以前のような価格に下がったとしても、一定数のお客様は夜行バスを使い続けると見られ、長期的な夜行バス市場の拡大につながっている」としています。

実際増えてるの?夜行バス

 夜行バスはコロナ禍で大きく衰退し、さらに乗務員不足が相まって、2024年以降も路線の廃止などが相次いています。各社ともコロナ前の態勢を維持できないなか、実際、利用者はどこまで増え、高速バスはどう変わってきたのでしょうか。

「(コロナ前の)2019年と23年を比べると販売席数は8割程度に減っているものの、乗車人数は大きく変わっていません」とウィラーは話します。客足そのものは戻っているようです。

 特に、コロナ前は閑散期だった10~11月の乗車率が大幅に伸びたほか、「平日の集客が手堅い」とのことで、2023年平日の乗車人数は19年より増えているといいます。

 もうひとつは、インバウンドの増加。「特にゴールデンルートにあたる関東~関西線は、10~20%が多言語サイトからの予約です」とのこと。

 平日利用が伸びた背景には、「平日のライブ開催の増加や、割安な平日への旅程の変更が起きていると考えています」といいます。2024年も速報値では同様の傾向だそうです。

 コロナ禍中もウィラーの高速バスを支えた利用者層のひとつが、音楽ライブなどへ行く「推し活」層です。旅費を安く済ませてグッズを買いたい推し活のファンにとって、高速バスは相性がよく、リピーターが多いのです。

 そうした推し活の利用者も増えているのか、「『コンサート・イベント目的』のお客様のうち3割程度は初回利用のお客様」かつ、「その大半が18~23歳」なのだとか。「高校卒業あたりで、高速バスを使って初めてライブに行くお客様が多いのではないか」といいます。

 若者が高速バスを利用する傾向はコロナ前と変わりませんが、宿泊費の高騰、インバウンドの増加、イベントの平日シフトといった新たな要素が加わっているようです。ウィラーはこうしたバス需要に、プライベート感を重視した個性的なシートで応えている点も見逃せません。

 とはいえ、業界全体では乗務員不足によって、その需要へ思うように応えられない状況も続いています。ウィラーの場合は、人材育成プログラムを経た新人ドライバー一期生がまもなく乗務を開始するとのことで、春休みの増便につなげたいとしています。

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