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「永遠に有料…?」 とっくに無料化されている“はず”の道路たち なぜまだお金とるの?

乗りものニュース 2024年11月24日 12時12分

日本の有料道路は、完成後、通行料金によって借金を返済していく「償還制度」で運営されていますが、その償還期間が終わっている“はず”でも、有料のままとなっているケースもあります。それぞれ、どのような理由なのでしょうか。

料金徴収が終わらない!道路たち

 私たちの生活や経済活動になくてはならない「社会資本」である道路は、本来税金で建設され、開通後も維持管理されることが基本となっています。しかし、その建設には多額の費用がかかるため、早期の開通が必要な道路については、まず借入金で建設し、開通から一定期間徴収する通行料金によって借入金を返済する「償還制度」が採用されてきました。

 じつは我が国初の高速道路である「名神高速道路」や、続いて開通した「東名高速道路」も、それぞれ18年間、23年間で料金徴収を終え無料開放する“約束”だったのです。

 ところが高速道路においてはその後、全路線で収支を合算して計算する「料金プール制」の採用により、路線単独での償還(=無料開放)は消滅することになります。

 さらにプール制でいったん定められた償還期限も、制度変更や老朽化対策に向けた費用を組み込むなど、延長に延長を重ね、現在は最長で「2115年」まで料金徴収が続く仕組みに改められました。

 このように事実上の「恒久有料化」になってしまった高速道路に対し、「一般有料道路」は「借入金を返済したら無料開放する」という原則が守られてきました。しかしなかには開通当初設定していた料金徴収期間を過ぎたにもかかわらず、有料のまま運用されている道路があります。ここではそうした道路の例と、その理由についてご案内しましょう。

京葉道路(東京都江戸川区―千葉県千葉市)

 千葉県市川市、船橋市の市街地を貫き、拡幅もままならない国道14号のバイパスとして、1960年以降に順次開通した一般有料道路が「京葉道路」です。

 この京葉道路は交通量も多く、単独で十分に償還が可能だったはずが、まず千葉東金道路、さらには東京湾アクアラインなどとあわせてのプール制とされ、料金徴収が延長されます。

 そして道路公団民営化とともに高速道路と密接な関連を持つ「全国路線網」に組み込まれ、無料開放がほぼ絶望になるとともに、料金水準も上がるという、利用者にとって不満の残る取り扱いとなっています。

第三京浜道路(東京都世田谷区―神奈川県横浜市)

 1965年に全線開通した「第三京浜道路」も、前述の京葉道路と同じ建て付けで無料開放が遠のいてしまった一般有料道路です。

 まず1988年に接続する横浜新道、さらに横浜新道から接続する横浜横須賀道路とのプール制に組み込まれることになります。

 さらに道路公団民営化で全国路線網の一部となったのち、通行料金260円(全線通行時/普通車)も、390円(同)へと値上げされています。

 なおこのとき、他路線に比べ高い料金水準だった横浜横須賀道路は1440円(同)から950円(同)へと大幅値下げされました。路線間の料金を上げ下げして、その違いを均した形です。

日光宇都宮道路(栃木県宇都宮市―日光市)

 1976年に開通した「日光宇都宮道路」は、当初30年の料金徴収を経て無料開放される予定でした。

 しかしその通行料金の高さから、利用が低迷、そこで料金徴収期間を2022年まで延長しました。しかしその後、大規模修繕にコストがかかることを理由に2034年までの再延長が行われています。

伊豆中央道(静岡県伊豆の国市―函南町)/修善寺道路(静岡県伊豆市―伊豆の国市)

 1995年に全線開通した「伊豆中央道」、1998年に全線開通した「修善寺道路」は、それぞれ2015年、2025年を料金徴収期限としていました。

 しかしその交通量が計画を下回っていたことから、2013年に合併採算性を導入、期限を2023年まで延長します。

 ところが無料化を控えた2023年3月に、建設中の国道414号「静浦バイパス」の一部区間の有料道路制による整備と、これら両道路とのプール制が打ち出され、料金徴収は2057年まで30年以上延長されることとなりました。なお静浦バイパスの未整備区間は約4.4kmですが、全線開通は2038年と、遠い先の話です。

関門トンネル(山口県下関市―福岡県北九州市)

 1958年、本州と九州を結ぶはじめての道路として開通したのが「関門トンネル」です。

 この道路は、富士山有料道路(富士スバルライン)、真鶴道路(新道)とともに、一般有料道路の例外となる「道路整備特別措置法第15条」、つまり「道路管理者が当該道路の維持又は管理に関する工事を行うことが著しく困難又は不適当であると認められるとき」に有料管理を続けることができると定められています。

 この関門トンネルは、いったんは2025年に無料化する構想もありましたが、維持管理にコストがかかる海底トンネルであること、現在でも1日に約4800トンもの湧水をくみ上げていることなどから、当面の無料化は困難でしょう。

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 これら無料開放されない有料道路については、関門トンネルのように「そもそも無料化が難しい」ところを別とすれば、「甘い見積もり」「場当たり的な政策」が露呈しているとも言えます。その一方で「無料なのに立派なバイパス」が日本各地で続々と登場していることも考えると、道路行政の公平性が求められるところではないでしょうか。

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