2027年度の全線開通を目指して、新東名高速の工事が進んでいます。
2027年度の開通に向けて工事中
2027年度の全線開通を目指して、新東名高速の工事が進んでいます。
2024年11月21日、NEXCO中日本や国土交通省、沿線自治体で構成する「新東名高速道路(海老名南JCT~御殿場JCT)連絡調整会議」の第6回が開催されました。2022年12月の第5回以来、約2年ぶりの開催です。
新東名は、圏央道と接続する海老名南JCTと、伊勢湾岸道・東海環状道と接続する豊田東JCTを東西に結ぶ全長約250kmの高速道路です。全線にわたり既存の東名と並行していますが、新東名の方が距離は短く、高規格で造られているため走りやすいのが特徴です。
海老名南JCT~豊田東JCT間のうち、長さですでに9割ほどの区間が開通しており、交通分散による渋滞の軽減や、大規模工事・災害時の迂回路などの役割を発揮しています。しかしあと1割、長さにして25kmの新秦野IC~新御殿場IC間が、最後の未開通区間として残っています。
この区間は、神奈川と静岡の県境近くの山間部で、橋の区間は約2割、トンネルの区間は約5割を占めます。
会議では、2024年11月時点の進捗が報告されました。
橋は、31本中22本、8.9kmのうち6.2kmが完成。完成延長ベースの進捗率は70%です。トンネルは、14本中10本、24.6kmのうち19.3kmが完成しています。進捗率は79%です。土木部は、17.4kmのうち8.5kmが完成しており、進捗率は49%です。
全線にわたって道路本体工事に着手しており、自然的要因のリスクはあるものの、着実に工事を実施しているといいます。
工事難航のトンネルで過去最大規模の湧水
このうち、難航しているのが、途中の松田町と山北町をつなぐ長さ約2.8kmの高松トンネルです。
このトンネルは、水に触れると崩壊・膨張する性質を持つ緑色凝灰岩が点在するなど脆弱な地山が出現。さらにトンネルの変形や切羽崩落を引き起こす断層破砕帯も確認されており、慎重に工事が進められています。
2024年9月11日には、上り線の坑内で突発湧水が発生しました。湧水量は毎分2.5t程度で、これは高松トンネルの工事で過去最大規模といいます。その後、排水設備を強化するなどして掘削作業は再開されています。
掘削は東側から行われており、10月末時点で下り線側が1600m、上り線側が1770mまで進んでいます。また、上り線側は西側からの掘進も始まりました。
会議では沿線自治体から「(新東名は)様々な役割を担う重要な道路であり、大きな期待を寄せている」「新東名の開通に合わせて周辺のまちづくり等にも着手しており、引き続き着実に事業を推進していただきたい」といった期待の声が。
また、「2027年度の開通を目指して一日も早い開通をお願いする」と、全線開通を待ち望む意見も出されました。
NEXCO中日本は「全域において着実に工事を進めている」、高松トンネルについては「脆弱な地山の出現や湧水など、自然的要因のリスクが発生し、引き続き掘削が難航しているが、2027年度開通に向け、周辺環境に配慮し、安全かつ慎重に工事を進めている」としています。