JR八高線に、ディーゼルハイブリッドシステムを搭載した新型車両が投入されます。SNSでは賛否両論あるようです。どのような意図があるのでしょうか。
埼玉県から「キハ」が消える
JR東日本は2024年11月21日、JR八高線に新型車両「HB-E220系」を導入すると発表しました。この車両は、ディーゼルハイブリッドシステムを搭載し、従来の液体式気動車よりも環境性能に優れた車両となります。
ただ、公開されたイメージを見ると窓が少なく、座席も既存車両のセミクロスシートからロングシートに変わるため、SNSでは賛否両論あるようです。どのような意図があるのか、JR東日本に聞きました。
八高線は、八王子と群馬の高崎(正式な終点は倉賀野)を結ぶ路線として戦前に開業。高麗川駅(埼玉県日高市)を境に運行系統が分かれ、北側は非電化となっています。この区間には関東で唯一、キハ110系気動車が走っており、埼玉県では唯一の非電化区間です。
今回投入されるHB-E220系は、2019年に営業運転を開始した電気式気動車のGV-E400系によく似ていますが、片側のドアが2か所から3か所に増え、側面のイメージが大きく変わります。ドアが増えることで乗り降りしやすくなるものの、キハ110系では121人だった1両あたりの定員が、HB-E220系では103人に減ります。
今後、八高線の高麗川~高崎間に2両編成8本、盛岡地区(釜石線など)に2両編成6本と1両4本が投入され、既存のキハ110系やキハ100系が置き換えられます。2025年度下期から営業運行を開始する見込みです。
なお現在、八高線用のキハ110系は21両が存在し、需要に応じて1~3両編成で運転されています。今回の八高線の新型車両について、JR東日本高崎支社に話を聞きました。
新型車両は「4両編成」でも運転可能
――車両の外観イメージを見ると、窓が少ないように見えますが、どのような理由があるのでしょうか?
扉数を片側3か所とした他、車椅子対応洋式トイレや機器室を設置しているためです。
――車両の定員が減りますが、新型車両は2両編成同士を連結して4両編成で運転することはできるのでしょうか?
4両編成への増結は可能です。列車の編成両数については、ご利用状況に応じて決定します。
――座席はセミクロスシートからロングシートに変わりますが、セミクロスシートに対する不満や改善の要望の声があったのでしょうか?
高崎エリアに限りませんが、セミクロスシートについては「乗降に時間を要する」「座席に荷物を置いて他のお客さまが座れない」「通路が狭くなる」などの声を頂いていました。
――新型車両の導入数は16両で、既存の車両数(21両)よりも少なくなりますが、なぜ減らすのでしょうか。
ご利用状況をふまえ両数は決定しており、また乗降ドアが2か所から3か所に増えたことにより、よりスムーズな乗降が可能になると考えています。
――置き換え対象の車両(キハ110系)はどうなるのでしょうか?
廃車を予定しています。
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八高線で現在走っているキハ110系は、旅情を感じられるセミクロスシートで、1人掛け席もあるなど、長距離の乗車には適しています。ただ、ふだん利用する通勤・通学客にとってはロングシートの方が好ましい面もあるようです。