主砲は取り外して別の兵器が取り付けられる?
主砲の弾すらなかったステルス艦がようやく使い物に?
アメリカ海軍が運用しているステルス駆逐艦ズムウォルト級に極超音速ミサイル用の発射台が設置されていることが2024年12月1日、アメリカメディアの報道で明らかとなりました。
当初ズムウォルト級は、敵に見つかりにくいステルス性を活かし、沿岸部に近づき、そこから陸上への火力支援を行うことを想定して建造された艦でした。
そのために、同級は主砲に155mmAGS(先進砲システム)という独自の砲塔を2基装備していました。砲弾も専用となっており、GPSと慣性航法装置による誘導とロケット補助推進を採用した LRLAP(長射程対地攻撃砲弾)が開発されました。
しかし、建造費や維持費などのコスト増のため、同級の建造数が当初の24隻から最終的に4隻に削減されると、1発1億円以上と巡航ミサイル並みの値段になることが見込まれた155mmAGSの砲弾調達もキャンセルとなってしまいました。
以降、砲弾の撃てない駆逐艦となってしまったズムウォルト級は、2023年8月から1番艦の「ズムウォルト」が、2年にわたる改修を受けています。
今回の報道では、当初の改修計画通り、砲塔が取り外され極超音速ミサイルの発射台が取り付けられている最中であることが確認されました。極超音速ミサイルとは音速の5倍以上の速度で飛行する兵器のことで、迎撃が非常に困難とされています。
すでにロシアでは、3M22「ツィルコン」という艦艇発射型の極超音速ミサイルがウクライナへの攻撃に使用されています。ズムウォルト級では、開発中の「通常型即時攻撃 (CPS)」という音速の7~8倍で飛行するミサイルの発射台が計4台取り付けられる予定で、1隻あたり12発の極超音速ミサイルの発射能力を有する予定となっています。
※一部修正しました(12月03日15時35分)。