今後も収支改善が見通せず……。
弘前電気鉄道時代から厳しかった経営
青森県の津軽平野で鉄道2路線を運行する弘南鉄道は、中央弘前~大鰐間を結ぶ大鰐線について、2027年度をもって廃止する意向を示しました。利用客の減少に加え電気料金などの高騰が経営を圧迫し、今後も収支改善が見通せないためだとしています。
大鰐線は1952(昭和27)年、弘前電気鉄道により第1期線として開業しました。交通事情が悪かった津軽平野に、三菱電機の資本参加を得て電化路線を敷設したのです。なおターミナルである中央弘前駅は、ここから板柳までの第2期線を想定しての立地ですが、こちらは実現することなく現在に至ります。
その後、モータリゼーションや自然災害による被災で経営は悪化。車両も他社から中古の木造車を譲り受けて融通していたほどで、とうとう1970(昭和45)年、大鰐線は弘南鉄道へ譲渡されました。
しかし以降も赤字が続き、沿線自治体からの財政支援も得てなんとか今日まで運行してきたというのが実情です。
廃止の意向を受け、青森県の宮下宗一郎知事は「弘南鉄道株式会社が、大鰐線について運行継続困難と判断したことは大変残念ですが、交通事業者としては苦渋の決断であり、重く受け止めています。県としては、大鰐線利用者の交通手段確保を第一義に、引き続き沿線市町村と連携していきます」とコメントしています。