京都・奈良・和歌山を南北に結ぶ京奈和道のうち、“ブツ切り”で開通している区間では、並行国道の混雑が深刻化しています。そこでは、地上の国道の辛さと、高架の自動車専用道の快適さが同居していました。
途切れる部分は確かに辛い!「京奈和道」
2024年11月28日、京都・奈良・和歌山3府県の知事と議員らが東京に集まり、「京奈和自動車道建設促進協議会決起大会」を開催。東京での開催は実に17年ぶりだったそうです。3府県を結ぶ京奈和道の早期開通を国に要望しました。
京都・奈良・和歌山を南北に結ぶ京奈和道は、全長120kmのうち約7割が開通済。奈良・和歌山県内で開通部している箇所は、現時点で全て無料です。暫定2車線区間が多くスピードこそ制限されますが、信号のない快適な移動ができます。
しかし、人口が集積する奈良市ー橿原市間の約26kmは、一部区間のみ“ブツ切り”で開通している状態です。
和歌山方面から来ると、未開通部の深刻な渋滞と、開通部の快適な自動車専用道の恩恵の両方を体感することとなりました。
和歌山方面からの京奈和道が途切れるのが、「橿原高田IC」です。ここで高架の専用部から地上の国道24号へ下ろされることとなりますが、本線からズラリ渋滞していました。
ここでは、国道24号と交差する大阪方面への自動車専用道(南阪奈道路)に通じる国道165号「大和高田バイパス」へ向かう左折車が多く、直進車も渋滞します。ここを抜けると、今度は左側に大型商業施設「イオンモール橿原」があり、また詰まります。
その先、県道105号「中和幹線」との交差点にかけても慢性的に渋滞。そこを抜けると再び現れる自動車専用部へのランプが、天国への階段のようにも見えてきます。もっとも、地上へ下りてくる反対側はかなり渋滞しています。
この橿原北ICから、西名阪道と接続する郡山下ツ道JCTまでの約9kmは、奈良・和歌山区間では唯一4車線で開通しており、かなりスイスイ走れます(しかも無料)。しかし、高架は西名阪道へ直結しているため、奈良方面へはその手前の郡山南ICで下りなければなりません。
再び地上の国道24号で北上するも、やはり交通量は多く渋滞気味。奈良市との境目に立地する巨大なイオンモール大和郡山をはじめ、大型のロードサイド店もひしめき、混雑も激しくなります。
天国が“つながる”日はいつ?
このように、奈良―橿原間は地上の国道24号の混雑と、少しだけ開通している京奈和道の快適さが好対照を成しているのが現状です。
地上の国道では、建設中の京奈和道の橋脚が林立し、一部は巨大な橋桁が架かっている箇所もあります。それを横目に混雑する国道を往来すれば、否が応でも開通が待ち遠しくなるでしょう。Xでは、「奈良県民は京奈和道の工事が進むとワクワクする」といった投稿が見られましたが、うなずけるところです。
今後の予定ですが、前出した橿原高田ICと「大和高田バイパス」を直結する「橿原JCTの大阪方面ランプ」のみ、2026年春の開通が予定されています。
京奈和道が途切れて地上へ降りる箇所で需要が多い大阪方面ー和歌山方面の交通が、専用部どうしをつなぐランプに移行するため、地上の交差点の混雑緩和が期待されています。
一方、未開通部の橿原高田IC-橿原北IC間は一部でトンネル構造となる予定です。また、イオンモール大和郡山から北の奈良市街地もまるごとトンネルで抜け、再び高架となって京都府内の木津IC(京奈道路)へと接続する計画です。これらトンネルを有する区間は、開通見込みが示されていません。
なお、西名阪道と交わる郡山下ツ道JCT以北は、NEXCO西日本との合併施工で進められており、有料道路になる予定です。最終的には西名阪道を境に北は京都の城陽まで有料、南は和歌山まで無料区間となります。