大林組は2024年12月、山岳トンネル工事における掘削面(切羽)での火薬の装填作業を遠隔化・自動化する「自動火薬装填システム」を用いて、実際の発破に成功したと発表しました。
トンネルの外から火薬装填!
大林組は2024年12月、山岳トンネル工事における掘削面(切羽)での火薬の装填作業を遠隔化・自動化する「自動火薬装填システム」を用いて、実際の発破に成功したと発表しました。
同社は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の支援を受けた慶応義塾大学の野崎貴裕准教授らの研究グループと共同で、2023年に「自動火薬装填システム」を開発。室内試験を経て今回、長野県で国土交通省が発注した「三遠南信道」のトンネル工事にて実証実験として適用したといいます。
山岳トンネル工事における重大災害の多くは、支保工の建て込み作業と、切羽直下での火薬の装填・結線作業で発生しており、重機を使用する前者については遠隔化・自動化が進んでいるとのこと。
一方で、火薬や雷管といった危険性の高い材料を扱い、繊細な力加減や手指の感覚を必要とする後者については、さらなる安全性確保が求められているそうです。
今回の“リモート装填”成功のカギとなったのが、遠隔で力触覚を再現する「リアルハプティクス」と呼ばれる技術です。
これは、「切羽から離れた安全な場所から、あたかも切羽で直接作業を行っているかのように直感的な」火薬の装填作業が行えると説明されています。
今回のシステムは、トンネル外のオペレータ室に設置したリモコンと、トンネル内の切羽で実際に作業する装填ロボットで構成。オペレータ室で装薬孔周辺を映したモニターを見ながら、リアルハプティクスによりリモコンと装填ロボットの触覚を相互に再現することで、遠隔操作による火薬装填に成功したということです。
今後、野崎准教授らのグループと大林組は、一連の技術の現場適用を目指すとともに、これをさらに応用し、トンネル掘削作業の無人化を実現することで安全かつ効率的な働き方を目指すとしています。