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京葉線の激レア系統「東金線直通」に乗ってみた ロングランだけど「各停」の理由 ヘトヘトになって体感

乗りものニュース 2025年1月14日 8時12分

千葉県のJR東金線には、1日1往復だけ東京駅発着の列車が存在。種別は各駅停車で、全区間乗り通すと1時間半ほどかかります。夕ラッシュ時に東京駅から乗車し、需要を見てみました。

京葉線を経由し1日1本だけの東金線直通

 JR外房線の大網駅(千葉県大網白里市)と、総武本線の成東駅(同・山武市)13.8kmを結ぶ東金線。配線上は外房線との直通が可能であり、千葉駅との直通列車が1日13往復設定されています。そして1日1往復だけ、京葉線を経由する東京駅への直通列車も設定されているのです。

 東京発は18時32分。終点の成東着は20時05分ですから、1時間33分を要します。なお、同じ時間帯に総武本線を経由する、東京18時49分発の特急「しおさい7号」の成東着は19時54分で、所要は1時間5分。総武線快速は東京18時42分発で成東着20時15分(所要1時間33分)ですから、京葉線・東金線経由の成東行きは特急よりは遅いものの、総武本線の快速と差はありません。

 このレアな直通列車にはどのような利用があるのか。また、なぜ東京~成東間75.9kmを1時間半かけて各駅に停車するのか、実際に乗車して考察してみます。

 2024年12月の木曜日。筆者(安藤昌季:乗りものライター)は東京駅の京葉線4番ホームに来ました。他線のホームからは離れており、10分程度の移動時間がかかります。

 東金線直通の成東行き(列車番号4883Y)は先述の通り、18時32分に東京駅を出発します。発車7分前にホームに来ましたが、始発駅にも関わらず、座席どころか吊革まで埋まる盛況でした。

 車両はE233系電車5000番台10両編成で、4扉ロングシート車。トイレはありません。1~6号車が外房線の上総一ノ宮行き、7~10号車が東金線の成東行きです。行先表示も「外房線直通」「東金線直通」が上下で並ぶ珍しいものでした。

 つまり、この4883Y列車は誉田(ほんだ)駅で分割するのです。早朝の東京行きなら併合。外房線内で分割併合する唯一の列車でもあります。

乗車率は変わらず満員電車

 18時34分、東京メトロ日比谷線と接続する八丁堀駅に停車。下車客はありませんが、大量に乗車して隙間がなくなり、移動は困難な状況となりました。以降「何人が乗車」と書いていきますが、7号車の運転席寄りから確認できた人数となります。

 18時37分の越中島駅では数人が乗車。下車した人は確認できませんでした。18時40分の潮見駅では10人以上が乗車し、身動きが取れない混雑に。続く新木場駅は東京メトロ有楽町線やりんかい線と接続しますが、10人ほどが下車したものの大量の乗車があり、超満員になりました。

 18時47分の葛西臨海公園駅では30人ほどが下車し10人ほどが乗車。続く舞浜駅は平日だからか、東京ディズニーランドの最寄りでありながら乗車はわずかでした。下車は10人ほどに見えました。

 18時53分、新浦安駅で大量に下車があり、車内放送で「ドア付近の方はいったん降りてからご乗車ください」とアナウンスがありました。乗車は10人ほどでした。

 18時56分、武蔵野線方面へ分岐する市川塩浜駅では、工場勤務と思われる20人以上が乗車、下車客はわずかでした。「電車が揺れるのでご注意ください」とのアナウンスが流れると、18時59分に二俣新町駅。ここも下車客はわずかでしたが、10人程度が乗ってきました。武蔵野線が合流する南船橋駅には19時3分着。乗車、下車ともに10人ほどでした。

 この時点で、並行する東京メトロ東西線の終点、西船橋駅より遠くまで来ているのですが、列車内は吊革まで埋まる混雑のままで、新浦安駅辺りからトータルでほぼ変化がありません。19時6分の新習志野駅では15人くらいが下車し、数人が乗車しました。

通過駅は設定しにくい?

 新駅の幕張豊砂には19時8分着。ここでも乗車、下車ともに10人程度でした。19時10分、特急も停車する海浜幕張駅に到着。再び、ドア付近の人はいったん降りるようアナウンスが流れました。20人程度が下車したものの、大量の乗車でむしろ乗車率がアップしました。

 19時13分の検見川浜駅では20人ほどが下車し、数人が乗車。19時15分の稲毛海岸駅では50人ほどが下車して、ようやく身動きがとれるようになりました。とはいえ東京駅出発時と同程度で、吊革と座席はほぼ全て埋まっています。19時19分に千葉みなと駅着。15人ほどが乗車して、10人ほどが下車しました。

 19時24分、いよいよ外房線・内房線と接続する蘇我駅着。京葉線はここで終わり、内房線の快速 君津行きと接続します。ここで70人ほどが下車し、20人ほどが乗車しました。ようやく車内を歩けるようになりましたが、始発駅から徐々に乗客が減ることが多い通勤路線に対して、京葉線は千葉都市圏からの大きな需要があるため、そこへ帰宅する人とそこから帰宅する人が入り混じり、乗車率が落ちないのだと理解しました。

 社会問題にもなった、2024年3月のダイヤ改正における京葉線の快速列車削減ですが、ラッシュ時に乗った実感としては、越中島と舞浜以外の停車駅全てで無視できない利用があり、通過駅を設定しにくいのだと感じました。

誉田駅で分割 4両が東金線へ

 外房線へ入り19時31分、鎌取駅着。下車は10人、乗車は5人程度ですが、まだ座れません。19時34分に誉田着。ここで上総一ノ宮行きを切り離し4両編成になります。19時37分に成東行きが先発し、上総一ノ宮行きは後続の特急「わかしお15号」に抜かれるダイヤです。

 後発の上総一ノ宮行きは7分後の19時44分に誉田駅を出発し、大網駅まで8分差で成東行きを追いかけます。なお列車分割後、行先表示は並列ではなく「成東」だけになりました。

 19時41分、土気(とけ)駅着。10人以上が下車しましたが、座席はまだ埋まったまま。そして「まもなく大網です。4番線到着、お出口は右側です」と車内放送が流れ、連絡線を経由して大網駅の東金線ホームに到着しました。

 大網駅では20人以上が下車し、初めて空席ができました。4両編成の座席定員は186人ですから、京葉線・外房線からの直通客は160人以上はいることになります。

 東金線に入り、揺れが大きくなりました。19時53分、福俵駅着。15人ほどが下車しました。

 東金線の中心駅である東金には19時55分着。ホームで見ていたところ、各車両から10人ほど下車していきました。列車交換はなく、すぐ発車。まだ座席の多くが埋まっていましたが、19時59分の求名(ぐみょう)駅では列車全体から20人ほどが下車して、かなり空きができました。車内を巡回すると、乗客は54人でした。

 20時5分、定刻で成東駅着。0番線に到着した電車はすぐに「大網行き」の表示に変わり、折り返していきました。

 JR東日本 千葉支社によると、京葉線経由の東金線直通列車は、1990(平成2)年の京葉線全通時から運行されているとのこと。しかしその理由は、現在残っている資料では分からないそうです。また、長距離を各駅停車で運行する点については、「列車ごとのご利用状況や線区全体のバランスを考慮」しているとのことでした。

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