Infoseek 楽天

「優先席」だと思ったら「専用席」でした。 座っちゃダメ? 全国唯一がある地下鉄 その実態

乗りものニュース 2025年1月25日 14時12分

電車に乗ると車両ごとに必ず優先席が設けられています。ところが、札幌市の地下鉄には優先席ではなく「専用席」が設けられています。これにはどんな理由があるのでしょうか。

全国でも珍しい「専用席」とは

 通常、電車には各車両に優先席が設けられており、特有のマナーが存在します。例えば東京都交通局では、優先席について「お年寄り、お身体の不自由なお客様、妊娠中や乳幼児をお連れのお客様、ヘルプマークを身につけたお客様に、席をお譲りください」と案内しています。

 では、これが優先席ではなく「専用席」だと、どのようなマナーになるのでしょうか。実際に、札幌市営地下鉄は全国で唯一、優先席ではない「専用席」を運用しています。

 そもそもなぜ「専用」なのか、札幌市交通局ホームページにて以下のように説明されています。

「札幌市営地下鉄では、1974(昭和49)年4月に高齢者やお体の不自由な方の利用を想定した『優先席』を試行的に設置いたしましたが、当時は若い健常者が座席を占領することが多く、本来の優先利用の対象である高齢者やお体の不自由な方などが座れないとの声が多く寄せられたことから、市議会での審議等を踏まえ、1975(昭和50)年4月、『専用席』に変更し現在に至っております」

 つまり、試行的に設置した優先席の「優先」の認識があいまいだったため、基準を統一すべく「専用席」に変更されたというわけです。

 また利用対象について、札幌市交通局は続けて以下のように説明しています。

「専用席の利用対象者は高齢者に限定したものではなく、『からだの不自由な方』『乳幼児をお連れの方』『妊娠されている方』『内部障がいをお持ちの方』も対象としており、具体的な対象者が分かるステッカーの掲出や車内放送にてご案内をしておりますので、現行の専用席についてご理解いただきますよう、よろしくお願いいたします」

専用席の様子は? 実際に乗ってみた

 では実際、札幌の地下鉄で「専用席」はどう利用されているのでしょうか。

 休日の20時頃に札幌地下鉄南北線の大通駅からすすきの方面に向かう電車に乗り込むと、車内は通常の座席は全て埋まっており、立っている乗客も60%ほどを占めているなど、かなり混雑した様子でした。

 その中で、車両の端にある専用席は空席が目立ち、専用席の前にはつり革を持って立っている若者の姿も。多くの人が専用席を認知していることが見受けられました。

 一方、専用席の利用対象である高齢者や、からだの不自由な方は率先して専用席に座っており、地下鉄を利用しているユーザーのマナーが守られた車内空間となっていました。

 SNSで札幌の専用席についての反応を見てみると、「実際住んでみてラッシュ時も空席なことが多かった」「札幌の地下鉄は優先席じゃなくて専用席だから絶対空いてて助かる」といった声があり、札幌市民を中心に専用席として周知されている様子がうかがえます。

 東京などを走る電車の車内では、優先席と書かれていても空いていれば対象者ではなくても座る人もいれば、優先席だからと座らないよう心がける人もいます。人によって認識は異なるようですが、なかには酔っ払って優先席を寝転ぶように占領しているケースも散見されます。

 優先席に関するネット上の意見には、「札幌の地下鉄のように各私鉄もそうしたらいいのに」といった声も見られます。

 もし専用席が全国に広まるならば、現在の優先席マナーに関するユーザーの認識も変化していくかもしれません。

この記事の関連ニュース