長野の駅前に、今どき300円台~という格安の立ち食いそば店「ナカジマ会館」があります。SNS投稿が絶えない同店、その歴史は駅とともにありました。
長野駅にひっそりたたずむ立ち食いそば屋「ナカジマ会館」
物価高を背景に、立ち食いそばなどの価格が高騰しています。そんな時代でも300円台で多くのメニューが食べられる(2025年1月現在)立ち食いそば店のひとつが、長野駅前の「ナカジマ会館」です。
JR長野駅のカドにひっそりとお店をかまえるナカジマ会館は、もともと長野駅ホームの「駅そば」として営業していました。そのコスパの良さや、駅ホーム時代を思い出す人などのSNS投稿が絶えないお店でもあります。
店内には、その歴史がつづられたポスターが飾られています。その内容は公式ホームページにも細かく解説されています。
ナカジマ会館の歴史は、明治時代までさかのぼります。1888(明治21)年に創業し、長野駅の開業と同時に、駅構内での弁当の立ち売り営業を始めます。4年後の1892(明治25)年には、弁当部門を独立させて「中島屋弁当店」を創立。当時は木を薄く伸ばした経木と言われる弁当箱を使い、汽車に乗る時間が長かったため、中身もご飯中心の実用的なものが中心だったといいます。
そんなナカジマ会館が立ち食いそば店を始めたのは、戦後間もなくのこと。この頃には食糧事情も好転してきており、当時の鉄道局長の「そばの販売をしたらどうか」という言葉にヒントを得て、立ち食いそば店を開業しようと考えたそうです。
1950(昭和25)年に国鉄より承認を受けた後、長野駅ホームと待合室にそれぞれそば店を開業。その味は、旅行客をはじめ地元の人々に親しまれました。休業期間を経て、現在の長野駅ビルMIDORIでの営業を再開したのは2015(平成27)年のことです。
現在ナカジマ会館は、駅弁事業からは撤退。長野駅前「ナカジマ会館ビル」の不動産事業を基軸としています。
あの七味をかけて食べられる
昼の13時頃に店内に入ると、新幹線に乗る前に訪れたであろう年配の夫婦や、大きなリュックを抱えた男性客など、賑わいを見せていました。メニューにはかけそばや月見そば、信州きのこそばなどが並ぶなか、名物の天ぷらを載せた天ぷらそば(390円)をチョイス。
カウンターには、長野県を代表する七味唐辛子メーカー、「八幡屋礒五郎(やわたやいそごろう)」の七味が置かれており、自由に好きなだけかけることができるのは嬉しいポイントです。
新幹線に乗る前や長野駅で一息ついて小腹がすいた時など、手軽に美味しいそばをいただくにはありがたいお店でした。何より、物価高のご時世でこの価格は嬉しい限りです。