「東京オートサロン2025」の会場でレトロなバンを発見。往年のアメ車、フォードF-100「パンプキン」によく似た外観をしていますが、なんとトヨタの「タウンエース・バン」がベースなのだそう。市販化を含め、メーカーにハナシを聞きました。
フォードの傑作商用車によく似たクルマを発見!
日本最大級のチューニングカー&カスタムカーの祭典「東京オートサロン2025」が、今年(2025年)も1月10日から12日にかけて幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催されました。
会場には例年通り、多種多様なクルマが展示されていましたが、そのなかに「見た目はレトロ、でも中身は最新式」というおもしろい商用バンを見つけました。製作したのは、オリジナルのボディキットでカスタムしたオシャレな軽自動車をオートサロンに出展し続けているBlow(神奈川県相模原市)です。
同社が今回、会場に持ち込んだのは4ナンバー商用車のトヨタ「タウンエース・バン」をベースにした「ジャックライダー」です。
一見すると、1950年代にアメリカで人気を博したピックアップトラックのフォード F-100「パンプキン」に似ています。F-100は丸目2灯のヘッドランプを備えた愛嬌たっぷりのフロントフェイスが特徴のボンネットトラックです。
当時のF-100には、荷台を金属製のパネルで覆った「パネルトラック」と呼ばれるバン仕様の派生モデルがあり、Blowはそれをイメージして「ジャックライダー」を製作したとのこと。ベースとなった「タウンエース・バン」は、F-100の3分の2ほどのサイズしかありませんが、違和感なくスタイリングをまとめ上げたのは同社の高い技術力のなせるワザと言えるでしょう。
Blowの富田涼子代表に話を伺うと「これまでは軽ワンボックスを中心にカスタムパーツの製造・販売を行ってきましたが、フェイスコンバージョンによる軽ワンボックスのカスタムがひとつのジャンルとして定着し、競合他社が増えたことで新たな試みとして少し大きな4ナンバー車をベースにしたカスタムにチャレンジしました」と述べていました。
軽商用車とは異なり小型商用車をベースにした場合、ネックになるのは継続車検が2年から1年へと短くなる点ですが、それについて富田代表は「今後はキャンピングキットの製品化を予定しており、8ナンバー化することで2年車検が取れるようにします」と答えてくれました。
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気になるのは「ジャックライダー」のカスタム費用ですが、フロントフェイスキットが49万5000円、フェイス用灯火類一式のパーツ代が9万9000~11万5500円(使用するタウンエースが前期型か後期型によって価格は変動)、リアゲートカバーが8万8000円と発表されています。これらに塗装費を加えると、エクステリアのみのカスタムでも総額140万~150万円くらいになるようです。
出展車両は外観だけでなく内装にも手を加えており、同じように専用のシートカバーや荷室のウッドパネル化などといったカスタムを施した場合の費用は別途必要になります。ちなみに、Blowの製品は法規対応しているので、カスタムを施した状態での車検は問題ありません。
なお、「タウンエース」にはバン仕様のほか、トラックモデルもラインナップに存在します。Blowのフロントフェイスキットは、もちろんトラックにも対応しています。
富田代表によると、「来年の東京オートサロンにはタウンエーストラックをベースにした『ジャックライダー・ピックアップ』を発表する予定です。もちろん、荷台を含む車両後部もカスタムして、F-150のようなフェンダーを備えたフレアサイド仕様を考えていますので楽しみにしてください!」とのことでした。
Blowは、自動車メーカーからの依頼を受けて試作車両や特殊車両を製作することもあるそうで、同社のGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)整形技術や板金技術は、カスタム業界では高く評価されています。
その高い技術力に裏打ちされたキットの精度は確かなもので、GFRPボディキットにありがちな合う合わないの問題などはなく、車体に取り付ければチリ(車体とボンネットやドアなどの部品同士のつなぎ目のこと)合わせもバッチリでメーカー純正と遜色のないレベルです。
そのようなBlowが軽自動車だけでなく、これから小型車・普通車のカスタムにも本格的に参入するというのですから、カスタムファンの期待はいやがおうでも高まるのは間違いないでしょう。2026年の「ジャックライダー・ピックアップ」も今から楽しみです。