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性能は韓国の方が上!? 近代化改修されたF-15「イーグル」空自機と差が出るワケは?

乗りものニュース 2025年2月2日 6時12分

韓国軍のF-15Kと空自のF-15J、隣国どうしの似たような機体が同時期に近代化改修を行います。レーダーなどは同じものを搭載するようですが、だからといって性能的には違うようです。どういった点が似ていて、どのようなところが異なるのでしょうか。

韓国「イーグル」性能向上へ

 韓国空軍が運用する多用途戦闘機F-15K「スラムイーグル」は、近い将来に大規模な性能向上改修を受ける計画です。このプロジェクトは、最新技術を導入して同機をアップグレードし、急速に変化する東アジアの安全保障環境に対応することを目的としています。

 一方、日本では航空自衛隊が運用するF-15J「イーグル」に関して、性能向上型であるF-15JSI(Japan Super Interceptor)への改修計画が進行中です。このように、日韓両国でF-15の性能向上が同時期に進められている点は注目に値すると言えるでしょう。

 F-15KとF-15Jは、ともにアメリカ製のF-15「イーグル」を基に独自性を向上させたモデルで、末尾の「K」と「J」はそれぞれ両国の国名(KoreaとJapan)の頭文字です。一見すると同じように見えるF-15KとF-15Jですが、性能的には大きく異なります。そのため、同じようにアップグレード化が図られてもエンジン推力などは違うようです。改めて見てみましょう。

 F-15Kは、F-15E「ストライクイーグル」を基に、韓国の独自要件を取り入れた派生型です。2005年に初めて導入され、現在は約60機が運用されています。同機は、制空任務と対地攻撃の両面で高い能力を発揮し、AIM-120「アムラーム」空対空ミサイルやAGM-84K SLAM-ER巡航ミサイル、さらにはKEPD 350巡航ミサイルといった多彩な兵器を搭載可能なのが特徴です。

 しかし、運用開始から約20年が経過し、電子機器やセンサーの陳腐化が進んでいることから、韓国政府は性能向上改修を決定しました。

 予定されている改修内容は、最新のアクティブ電子走査アレイ(AESA)レーダーであるAN/APG-82や、電子戦能力を強化するAN/ALQ-250「EPAWSS(Eagle Passive Active Warning Survivability System)」の搭載など。また、ミサイル接近警報装置AN/AAR-57の導入により、生残性が大幅に向上すると期待されています。

日本の「イーグル」はどうなるの?

 日本の航空自衛隊が運用するF-15Jは、1980年代に導入された純粋な制空戦闘機で、現在約200機が運用されています。そのうち約半数を対象に、F-15JSIへの改修が進行中です。F-15JSIへのアップグレードでは、コックピットの完全デジタル化やAN/APG-82レーダーの搭載に加え、EPAWSSはAN/AAR-57の導入が含まれます。この改修により、F-15Jは空対空戦闘能力だけでなく、空対地能力も付与される見込みです

 こうして見てみると、日韓両国のF-15改修計画は、多くの共通点を持っています。両国ともに、最新鋭のAESAレーダーであるAN/APG-82を採用し、電子戦システムはEPAWSSを搭載。アビオニクス(航空機搭載電子機器)においては同等の能力を持った機体となると考えて良いでしょう。

 しかし両者のF-15は、日本が純制空戦闘機型の「イーグル」であるのに対し、韓国のF-15は多用途型「ストライクイーグル」である点で異なっています。F-15Kは複座型であり、後席に兵装システム士官(WSO)を搭乗させることで、複雑な任務を効率的に遂行する設計となっています。

 一方、F-15Jは単座型であり、全ての操作を1人のパイロットが担います。この違いは、多用途任務への対応力においてF-15Kが優位性を持つことを意味します。また、F-15Kは「F110-GE-129」エンジンを採用し、F-15Jが搭載するエンジンよりも約30%高い推力を発揮します。以上のことから多用途戦闘機としての能力はF-15Kに軍配が上がると言えるでしょう。

 日韓両国のF-15改修計画は、東アジアの安全保障環境が急速に変化する中で、地域防衛能力を向上させるための重要な取り組みです。両国が最新技術を導入し、それぞれの戦略的ニーズに適合させた改修を実施することで、F-15の戦闘能力は大幅に向上するでしょう。

 両者は、設計思想の差異によって若干の性能差はあるものの、両国の取り組みは、地域の安定と安全保障の確保に向けた重要な一歩として評価できます。

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