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『ガンダム』で地上戦用兵器を繰り出してくるジオン軍「どこでテストした!?」実は秘密にやる方法があった!? その理由とは

乗りものニュース 2025年2月11日 20時12分

アニメ『機動戦士ガンダム』では、スペースコロニー国家であるジオン公国が地球に降下し、潜水艦や航空機で各地を攻撃します。円筒状で数キロしかないコロニーで試験できるとは思えませんが、どうやって実用化したのでしょうか。

ジオン軍 やたら潜水艦とか大型機多くない?

 アニメ『機動戦士ガンダム』の劇中では、宇宙のスペースコロニーが本拠地であるジオン軍には、地球専用兵器が多数存在します。例えば潜水艦「マッド・アングラー」や、モビルアーマー(MA)「グラブロ」のような海中兵器、主力戦闘機「ドップ」、空中空母と言える大型輸送機と爆撃機を兼ねる「ガウ攻撃空母」などです。

 前述した通り、ジオン軍は長さ30~40km、直径6.5km程度の円筒型宇宙都市「スペースコロニー」を領土とします。この程度の広さで、潜水艦や航空機のテストができるとは考えにくいです。

 公式設定では「潜水艦は地球制圧時に連邦軍から接収し、改造して使用している」「航空機はコンピューターシミュレーションで設計しているため、奇抜なデザインのものが多い」とされていますが、違和感はあります。というのも、人型機動兵器であるモビルスーツ(MS)には、試験型と称するものが複数存在しているからです。宇宙世紀の進んだ科学力でも、各種兵器のテストは必要だと考えられます。

 なお、宇宙世紀0079年の3月から開始された地球侵攻作戦で、ジオン公国は5大陸全てに降下部隊を送り込み、要所を制圧しています。これにはMS以外にかなり地上用兵器が必要になると思われます。

 連邦軍が反撃に転じた、戦争開始から11か月後のオデッサ作戦時の欧州・中央アジア方面のジオン軍は総兵員数90万人で、航空機を1900機以上保有したとされていますが、わずか数か月で試験なしの見切り発車で、これほどの空軍を短期間で作り上げるのも厳しそうです。どうやったのでしょうか。

 そこから考察した結論として、ジオン公国には「地球連邦から離脱したい旧国家」が協力していた可能性が考えられます。この場合、秘密裏に航空機の試験も可能ですし、占領も容易です。さらに鹵獲潜水艦隊をすぐに戦力化することも可能でしょう。

実は地上に協力者がたくさんいた?

 このような「表面上は関係ないことを装い、裏で協力する」というのは、史実でもあることです。

 例えば第一次世界大戦の敗戦で兵器開発を禁止されたドイツは、1920年代、当時世界唯一の社会主義国と警戒され、国際社会と距離を置いていたソビエト連邦と秘密裏に協定を結び、軍用機や戦車の技術力の向上、操縦要員の育成を図りました。また、潜水艦の技術に関しても同様で、日本海軍に協力する形で温存を行っています。

 なお、ジオンに協力する旧国家が存在したというのは、劇中でジオン公国の実権を握っていたザビ家の末弟である、ガルマ・ザビの行動でも裏付けられます。

 ガルマは北米有力者の娘であるイセリナ・エッシェンバッハとの結婚を望み、ガルマが戦死した後、イセリナが敵討ちを行おうとしたことに、ジオン軍将兵の一部が協力しています。ガルマはエッシェンバッハ市長には嫌われているものの、パーティーでは人気を集めてもいました。そのためガルマと北米とのつながりはかなり強かったことが窺えます。

 なおジオン軍の潜水艦となるマッド・アングラー級は、キャリフォルニア・ベースを拠点としていますが、これは北米でガルマの支配地域です。連邦の設計艦とされていますが、ジオン風のデザインで「ミサイル攻撃艦として設計されたが、設備を撤去してMS・MAの格納庫を増設した」とされています。

 全長40.2mもあるMAグラブロを短期間の改装で搭載可能にできるとは考えにくいので、北米は元々ジオンに協力しており、一年戦争開戦前から大型兵器の搭載も考慮していたとも考えられます。

 開戦以前からザビ家には北米に人脈があり、ガルマとイセリナと交流も深かったということです。現在の地球の経済的・政治的中心はアメリカだと思いますが、地球連邦は軍の中心が南米ジャブロー、政庁所在地はアフリカのダカール(諸説あり)で、北米とは距離があります。

 つまり旧アメリカが地球連邦に対する主導権を握ろうと、ジオンに協力した、あるいはジオンを援助して、連邦打倒の尖兵に育てたとも想像できます。ジオン公国の実質的な戦争指導者だったギレン・ザビは、連邦降伏後に地球上を核抑止力で支配するために、潜水艦隊も事前準備していたとも考えられます。

コロニー落としをして大丈夫だったのか!?

 ここで傍証と考えられるのが、「第二のコロニー落としを行わなかった」ことです。ジオン軍はスペースコロニーを巨大な質量兵器として、地球連邦軍本部である南米ジャブローに落とせば、戦争は終わると考えていました。

 一年戦争中、ジオン軍は数百万人の兵力を地球に降下させています。これは長期間制宙権を握っていたということです。地球連邦艦隊は開戦後、ルウム戦役までの戦闘で壊滅していますから、コロニー落としや核兵器使用を禁じる南極条約など結ばず、もう一度コロニー落としをジャブローに行えば戦争は終わるはずですが、そうしていません。

 捕虜から脱走した地球連邦軍のレビル将軍が「ジオン軍に兵なし」演説をして、ジオンに降伏しようとしていた連邦が息を吹き返したとされていますが、それが全ての理由なら地球降下作戦をジオン軍が半年間も継続できる余力はなかったでしょう。

 つまり「第二のコロニー落とし」は認められず、南極条約を結ばなければならない理由が、ジオンにあったとも思えるわけです。これは、ジオンが開戦前に地球上の協力旧国家たちに、コロニー落としに関して「陸地である南米のジャブローに落とすだけなので、影響は少ない」と説明したことが原因にあるのではないでしょうか。

 開戦初期に奇襲的に行われた最初のコロニー落としは、連邦軍宇宙艦隊の抵抗で、目標からそれてオーストラリアに落下。大津波などで数十億単位の死傷者が出ました。協力旧国家が存在したなら、激怒したと思われます。

 ジオンが戦争に勝利できても、地球上に協力者がいなければ新しい秩序での地球統治を行えませんし、劇中で地球から本国に送っていた希少資源確保なども困難となります。国力1/30のジオンが、連邦に対抗できる軍事力を保持できたのも、協力者からの資金・技術提供があったから、ということも考えられるわけです。

 つまり、コロニー落としが失敗したことで、ジオンは協力旧国家から政治的圧力をかけられ「以後、コロニー落としや核攻撃はしない」という南極条約を結ばなくてはならなくなったのではないでしょうか。

 そう考えるなら、ジオンがもう一度コロニーを落とさなかったことは、すんなり理解できます。

協力者のおかげでその後の戦も続けられているかも

 ジオン側が敗戦理由を「南極条約の政治的圧力で戦争遂行が制限された」と認識しているなら、宇宙世紀0083年にデラーズが北米にコロニーを落としたことは「報復」の意味合いともとれるでしょう。

 また、地上に残り戦闘を続けるジオン残党に関しても、戦後のインドネシア独立戦争で戦った残留日本兵のように、地元勢力に協力関係にあり戦闘を続けていることも考えられます。

 実際、宇宙世紀0090年になってもジオン潜水艦隊は地球上で活動しています。マンガ『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』では「敵がいないと予算が出ない連邦海軍が放置している」と描写されていましたが、潜水艦隊が一年戦争後、11年も整備なしで戦闘航海しているとは考えにくく、この辺りもおそらくジオンに協力する旧国家が極秘裏に支えていると思えるわけです。

 この考察が仮に妥当だとして、なぜ地球連邦と敵対する旧国家があるのでしょうか。

 これを筆者は「地球連邦内の主導権争い」、そして「宗教的理由」と推察しています。現実世界での「土地への執着心」は戦争の原因になるほど強いものですが、地球連邦は「半ば強制的に」宇宙移民を遂行したという設定です。『機動戦士ガンダムZZ』では、イスラム教徒っぽいアフリカの武装勢力とジオン残党が協力している描写があります。もしかすると旧国家との間で「ジオンが勝利した後に、宗教的聖地への帰還を認める」などの密約があったのかもしれません。

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