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「離島奪還のスペシャリスト」水陸機動団の実弾射撃に密着! 希少グレネードランチャーから最大の迫撃砲まで

乗りものニュース 2025年2月9日 8時42分

九州に配置されている島嶼防衛の専門部隊、陸上自衛隊水陸機動団の訓練に密着取材してきました。普段なかなか見られない水陸両用車AAV7の実弾射撃の様子などを紹介します。

「日本版海兵隊」の実弾射撃に密着

 長崎県佐世保市の相浦駐屯地に本部を置く陸上自衛隊の水陸機動団は、2024年12月下旬、西日本最大の演習場である日出生台演習場(大分県玖珠郡)において実弾射撃訓練を実施しました。

 水陸機動団は、いわゆる「日本版海兵隊」との異名を持つ島嶼防衛の専門部隊です。このたび、そのような部隊による実弾を使った訓練を密着取材することができました。

 訓練では、水陸両用車AAV7が搭載する40mm擲弾と12.7mm重機関銃が用いられ、数百m離れた固定標的に向けて何度も射撃が行われました。

 AAV7(Amphibious Assault Vehicle Mark 7)は、アメリカで開発された海兵隊向けの装甲兵員輸送車です。水上浮航能力を持っているため主に水陸両用作戦において使用され、沖合の揚陸艦から発進すると自力で岸まで航行し、砂浜などに上陸した後は味方部隊の火力支援などを行いながら内陸へ向け進撃することが可能です。

 水陸機動団はAAV7を数多く装備していますが、そのほとんどが隷下の戦闘上陸大隊に配備されています。戦闘上陸大隊は、大隊本部のほかに本部管理中隊と第1~第3中隊の計4個中隊からなり、大隊本部と本部管理中隊、第1戦闘上陸中隊が長崎県佐世保市の崎辺分屯地に、第2戦闘上陸中隊が大分県の玖珠駐屯地に、そして第3戦闘上陸中隊が長崎県大村市の竹松駐屯地に、それぞれ分散配置されています。

無反動砲やデッカイ迫撃砲の射撃も

 訓練ではほかにも84mm無反動砲による曳火(えいか)射撃や120mm迫撃砲の観測射撃なども行われました。

 84mm無反動砲は個人携行が可能な肩撃ち式の大口径砲です。射撃時に砲尾から大量のガスを噴射することで反動を低減しているのが特徴で、これにより操作が安定しやすく、携帯性にも優れています。

 曳火射撃とは、榴弾などの砲弾を空中で爆発させる射撃法で、具体的には塹壕(ざんごう)などに潜む敵歩兵に対して効果的です。訓練では、84mm無反動砲を射手と装填手の2人1組で操作し、数百m離れた固定標的に向けて榴弾を撃ち込んでいました。

 120mm迫撃砲は、火力誘導する隊員による目視での観測射撃や、対迫レーダ装置(JMPQ-P13)使用したレーダ観測射撃など、さまざまなシチュエーションで射撃訓練を行っていました。

 対迫レーダ(たいはくレーダ)とは、敵の迫撃砲や砲兵の射撃地点を特定するための装置です。

 飛翔する砲弾の弾道をレーダアンテナで捉え、そのデータを解析することで、発射地点を特定することが可能です。これにより、迅速な反撃や防御が可能となります。また、天候に関わらず砲弾を標定・観測することができるため、目視での観測が困難な夜間や悪天候下での射撃にも有用です。

 当日は夜明け前から訓練準備が始まり、射撃準備や各種火砲の照準調整を終わらせると、弾薬の配布、安全指導などが入念に行われていました。隊員たちは真剣な眼差しで訓練に臨み、寒空の下、懸命に任務を果たしていたのが印象的でした。

※一部修正しました(2月9日11時30分)

【映像】AAV7や無反動砲、迫撃砲の大迫力の射撃をムービーで見る

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