「対空機関砲は使えない…」は過去の話に。
ドイツ軍に検証用車両が納入される
ドイツの防衛企業ラインメタルは2025年2月5日、ボクサー装輪装甲車に「スカイレンジャー30」対空砲塔を搭載した自走式防空システムをドイツ連邦軍に納入したと発表しました。
納入は2025年1月末に行われました。ドイツ連邦軍で運用するのにふさわしいかを決める検証モデルです。順調にいけば、2027年から2028年初頭にかけて本格的な量産が行われます。
同車両の目的は、主に近接での、固定翼機やヘリコプター、巡航ミサイルによる空からの脅威の排除に加え、ドローンへの対抗策としても期待されています。
2020年のナゴルノ・カラバフ紛争、2025年2月現在も続くロシアによるウクライナ侵攻などでは、攻撃ヘリのほかに、ドローンなどの無人兵器も空の脅威になることが明らかとなりました。現状の対空ミサイルなどは固定翼機や対地ミサイルなどに対応するものであり、安価なドローン相手だと費用対効果も悪いものでした。
そこで、ウクライナ軍はドイツから退役した「ゲパルト」対空戦車の供与を受け、同車両をドローン攻撃からの防空の要として使っています。
スカイレンジャー30を搭載したボクサーはゲパルトの実質的な後継車両といえるもので、搭載する30mm機関砲は複数個並ぶシリンダーを持つリボルバーカノンになっており、毎分1200発を発射します。このクラスの機関砲としては世界最高性能を誇るとのこと。また、目標に近づくと自動的に炸裂する近接信管によって、目標がかなり小さくとも高確率で撃破できるそうです。
さらに、ボクサー装輪装甲車に搭載されているため、機動性も高く、現代戦にマッチした車両であるとラインメタルは説明します。
【動画】発射速度速すぎ…これが、「スカイレンジャー30」の射撃テストです