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人工光によるレタスの水耕栽培を手掛けていた(株)スプレッド[京都]が民事再生

東京商工リサーチ 2024年8月27日 11時10分

 (株)スプレッド(京都市下京区)は8月26日、京都地裁に民事再生法の適用を申請した。
 申請代理人は河本茂行弁護士(河本総合法律事務所、同市中京区烏丸通三条下ル)。
 負債総額は39億9920万円(2022年9月期決算時点)。

 水耕栽培による無農薬野菜の生産を行い、主にフリルレタスやプリーツレタス、モコレタス、シルクレタスの4種類を生産していた。2007年7月には亀岡市にて、結球レタスの量産が可能な完全人工光型植物工場である「亀岡プラント」が完成し、翌年から本格稼働した。2010年3月期に1億4753万円だった売上高は、2012年3月期には5億円を突破するなど徐々に業容を拡大。しかし、生産工場に対する多額の設備投資が先行し、たびたび億単位の赤字を計上したことで、長らく債務超過が続いていた。

 2018年には2カ所目の工場となる、独自のIoTによる栽培管理システムを備えた「テクノファームけいはんな」を木津川市で開設。2018年3月期中に債務免除益を計上し、一時的に債務超過を脱した。

 2021年5月にはレタス生産のノウハウを活かし、農薬を使用せず人工光を用いた植物工場でのイチゴの量産化技術を確立。レタスの生産と並行して新たな柱を構築するため、国内外での営業を展開し、2022年3月期はピークとなる売上高約17億1100万円を計上した。さらに、2022年8月には事業会社およびエンジェル投資家から第三者割当増資の形で40億円の資金調達を実施した。

 ところが、2022年9月期(決算期変更)には24億247万円もの特別損失により32億9793万円の赤字を計上し、再び債務超過に転落。また、2024年6月の生産開始を予定し、神奈川県秦野市に次世代型カットレタス工場「テクノフレッシュ秦野」を建設する計画を立ち上げた一方で、2024年4月には完成から17年が経過し老朽化していた「亀岡プラント」での生産を一時停止する旨を発表していた。受注が縮小するなかで資金繰り逼迫の度合いも一気に強まり、限界に達したため、法的手続きによる再建を目指すこととなった。

 なお、スポンサー候補企業が複数社あがっているとされる。

※(株)スプレッド(TSR企業コード:642077363、法人番号:5130001026596、京都市下京区中堂寺粟田町93、設立2006(平成18)年1月、資本金4億7000万円)

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